育毛剤にご用心!男性の妊活に影響を与える育毛剤の成分は?

妊活コラム

男性型脱毛症(AGA)は多くの男性を悩ませる問題ですが、近年は治療すれば改善できることもある病気になりました。
薄毛が悪化しないうちから服薬などで進行を抑え、再び頭髪が生えるように促すAGA治療は、男性にとって大きな救いになっています。
妊活カップルでもAGA治療を受けている方は少なくないでしょう。

しかしAGA治療は、妊活に悪影響を与える可能性がある薬があります。
今回はどのような薬にリスクがあるのか、どこで相談したら良いかをご紹介します。

いずれにせよ、闇雲にAGA治療を辞めさせるのだけは絶対に止めましょう。
薬を替えるなどリスクを減らす方法もあるので、カップルでよく話し合って今後のAGA治療を検討して下さい。

なぜAGAが起こる?どうやって治療する?

AGAはなぜ起こるのでしょうか。
男性ホルモン(アンドロゲン)の一種、テストステロンが5α還元酵素という酵素と結びつき、ジヒドロテストステロン(DHT)に変化します。
このDHTは男性らしさを造る原動力で、性機能の維持と強化、筋肉、骨の成長、体毛や髭の成長などを司ります。
男性が男性らしく生きるために、DHTは欠かせません。

しかしDHTが過剰に造られると様々な問題を引き起こします。前立腺肥大症や前立腺がん、脂質性にきび、男性型脱毛症(AGA)を引き起こします。
DHTが髪の毛根にあるアンドロゲン受容体(AR)に結びつき、発毛サイクルを乱し、毛包を縮めて発毛能力を奪うのがAGAの正体です。

そのため、「テストステロンをDHTに変化させない」ことがAGA治療の基本になります。どれだけ育毛剤を使っても、毛根を攻撃するDHTをどうにか対処しなければ、治療効果は限定的と言われています。
5α還元酵素の生成を邪魔する成分(5α-リダクターゼ阻害薬)を服用することで、AGAや前立腺肥大症の改善につながります。

代表的な阻害薬は、フィナステリドやデュタステリドです。5α-リダクターゼはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはⅡ型だけ、デュタステリドはどちらも阻害します。
デュタステリドのほうが効果は高いと言われていますが、そのぶん副作用リスクも上がります。

フィナステリド、デュタステリドは造精作用を妨げる可能性が

フィナステリド、デュタステリドとも、副作用があります。
妊活中で注意したい副作用は精子のトラブル、性欲減退です。

フィナステリドは服用した男性の1~5%に性欲減退、1%未満に精子減少のトラブルが出ることが知られています。
もし自然妊娠を目指しているなら背意欲減退はマイナス要素になります。精液量の低下も、生殖に問題がない程度なら問題は少ないと考えられますが、男性不妊と判断されるほど低下する場合は断薬が検討されます。
デュタステリドはこれらの副作用リスクがさらに上がります。

妊活をする、すべての男性にこれらのトラブルが出るとは限りません。むしろ何の問題もない方のほうが多いでしょう。
自分たちにとって副作用はどの程度影響するかを知るためにも、一度は不妊治療を行う病院で相談しましょう。



うつ病だった男性は要注意!妊活以外の副作用もあります。

妊活以外の副作用もあります。他にも頻度は不明ながら肝機能障害の副作用が起きることがあります。
疲れやすい、倦怠感や吐き気などの症状が収まらない場合は、フィナステリドの副作用の可能性があります。

気を付けたいのは精神的に作用する副作用です。うつ病の罹患経験がある男性が服用すると死にたくなる衝動(自殺念慮)が起こるリスクがあります。

フィナステリドは男性にはAGA治療など効果がありますが、女性は副作用しかありません。
女性はフィナステリドに触れるだけでも体内のホルモンバランスが変化し、さまざまな悪影響が出るリスクがあります。皮膚からも吸収されるためです。
触れるのを防ぐために、フィナステリドには厚いコーティングを施していますが、女性は錠剤が転がっているのを見つけても、素手で拾い上げるのは避けましょう。特に妊娠中は胎児に悪影響が出るおそれがあります。

まずは不妊治療のクリニックで相談を

なかなか素人では判断できないこともあるので、今後AGAをどのような治療方針にすべきか、病院やクリニックで医師に相談すると安心です。
特に男性不妊で治療を受けている場合は、必ず「不妊治療を受けているクリニックで」今後の治療方針について相談しましょう。

性欲減退や精子量の減少など、明らかに副作用が出ている場合は薬の変更を考える必要はあるでしょう。
外見上分からない場合でも、まずは男性側の不妊検査(精液検査)を行うことが求められます。それらの結果次第で、不妊治療とAGA治療の両立を検討しましょう。

副作用の程度次第ですが、完全にAGA治療を諦めなくても改善が見込める場合はあります。
デュタステリドを服用しているならフィナステリドに変える、5α-リダクターゼ阻害薬は中断して一次的に育毛剤だけにするなど、治療方針の変更はできます。



参考サイト

(独)医薬品医療機器総合機構「フィナステリド」

患者向医薬品ガイド 「フィナステリド錠0.2mg「クラシエ」  フィナステリド錠1mg「クラシエ」

AGAメディカルケアクリニック 【妊活中の方必読】フィナステリドが妊活・子作りに与える影響

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