地方在住でも高度不妊治療を受けたい!そんな時は

妊活コラム

不妊治療に限りませんが、難病や珍しい病気に苦しむ方が抱える問題のひとつに「地域間の医療格差」があります。
日本の医療はガイドライン化されているので、理論上は全国どこで治療を受けても同じ効果が期待できます。しかしガイドライン化が難しい病気、体外受精など培養士の技術に左右されやすい職人芸の技術を求めると、都市部の病院に集中しがちです。

不妊治療、特に体外受精、顕微授精など高度不妊治療は、治療成績が良い病院は都市部に集中しています。
地方在住で不妊治療を行う場合は(医療体制によりますが)、タイミング療法~人工授精までの一般不妊治療までのことが多いようです。

ホルモン治療は地元の病院、採卵や移植は大都市の病院へ

以前から行われていた方法は
「注射やホルモン療法などは地元の婦人科で行い、採卵、移植、高度な検査などは大都市の病院で行う」
というやりかたです。
大規模な病院でなくても、ホルモン療法や注射などは地方の病院でも対応可能です。

しかし、この方法は患者自身が病院を探し、医師を説得する必要があります。
大都市の病院はそのようなケースをよく取り扱うので理解と許可はまず問題ないですが、問題は地元の病院です。
中には理解が得られず、断られるケースもあるそうです。

他の病院と連携しながら治療を行う「病診連携」という治療形態があり、近年ますます重要視されています。しかし病診連携は「病状が悪化した時は大病院へ、改善したら地元の病院で治療を行う」という考え方です。
病診連携であっても治療の主導権と責任は1つの病院になります。万が一医療事故が起こった場合、地元の病院が責任を負うリスクがあります。
一概に断る医療機関に問題があるわけではありません。



地域の医療と連携した取り組みが始まりました

地域間の医療格差で不妊治療を諦めてしまうケースは珍しくありません。
たとえ都市近郊に住んでいても、1ヵ月に何度も電車を乗り継いで病院に通い、何時間も待機しなければならないのは大きな負担になります。膨大な数の患者を受け入れる医療機関にとっても、大きな負担です。

そのため、病院側で地域医療と提携する動きが始まっています。
名古屋を拠点に活動する医療法人浅田レディースクリニックは、品川のクリニックと福島県、東京都の4つの医療施設と連携を始めました。
「Central ART Lab」構想と名付けられた連携で、採卵のための処置や検査(注射、エコー検査、採血など)は地元の病院で行います。
高度な医療施設や培養士が必要な採卵、顕微授精の受精操作、受精卵凍結、胚移植、凍結保存管理は、専門病院で行います。
現状ではまだ4医療機関だけですが、今後も連携できる医療機関を募集し、ネットワークを拡大化する計画です。
浅田レディースクリニック品川で治療を希望する方には、大きな助けになるでしょう。

一方で、2024年現在、一つの医療機関による自助、共助の取り組みが始まったばかりです。今後は他の高度不妊治療を行う病院が地域連携を深める可能性がありますが、不妊治療を求める方々のニーズに応えるには、まだまだ需要が足りていません。

現状では、自力で地元の病院を探すしかない

地方の方が高度不妊治療を行いたい場合は、現状では自力で地元の病院を探す必要があります。
かなり面倒ではありますが、方法がないわけではありません。

同じ地元の患者さんと知り合い、病院を紹介してもらう

大規模な病院では患者さん同士の交流を促すイベントを行っているところがあります。
コロナ禍で中止、またはリモートワークに替えた病院もありますが、もし再開したら積極的に参加することをおすすめします。(※感染予防のため、必ずマスクを着用しましょう)
地元で協力してくれる病院の情報や、意外な情報が得られることもあります。
東京なら関東全域、大阪なら近畿全域から治療を受けに来る患者さんが多い傾向があるので、高い確率で同郷の方が見つかるでしょう。

病院で尋ねる

治療を受けている大規模医療機関で、直接訪ねるのも一つの選択肢です。
もし、あなたと同じ地域の患者さんが多い場合は、患者さんが世話になっている地元の病院を教えてくれるかもしれません。
病院名は教えてくれなくても、どのように探せば良いかヒントをくれる可能性もあります。
医師はあくまで治療に専念するため、この方法は必ずしも確実ではありません。しかし参考になる方法を教えてくれる可能性はあるので、念のため訪ねてみましょう。
病院の相談窓口があれば、そちらで尋ねるほうが良いかもしれません。

現状では自分でネットワークを広げて探すのが最善の方法です。なかなか面倒ではありますが、探せば見つかる可能性は高いので、悲観せず探してみることをおすすめします。



参考サイト

PR TIMES「地域の医療機関との連携で、地方と都市の医療格差を解決する新たな取組「Central ART Lab」、東京都および福島県の4施設にて6月より連携開始」

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