妊活で良いところは、「妊娠に備えられる」という点です。
自然妊娠が理想だと思われがちですが、良いことばかりではありません。妊婦健診で初めて子宮頸がんが見つかった、突然の妊娠糖尿病や妊娠高血圧など、妊娠中に命に関わる問題が起こることがあります。
できるだけ事前に備えておきたいこと、妊活中にやっておくと良いことをご紹介します。
不妊治療で通院されている方は、性病検査は完了しています。(検査、治療しないと不妊治療が受けられません)
まだ病院に通っていないカップルは、ご自身で性病検査を受けましょう。女性は婦人科、男性は泌尿器科で検査を受けられます。
乳がん、子宮頸がん健診
真っ先に行いたいのは乳がん、子宮頸がんのチェックです。
定期健診で受けている方が多いと思いますが、もし前回検査から1年以上経っているなら、できるだけ早めに検診を受けましょう。もし健診で有料オプションになっているなら、オプション料金を払ってでも受けるべきです。
妊娠すると抗がん剤などの薬が使えません。赤ちゃんを産んでから治療を始めるか、妊娠を諦めるか、という残酷な二択を迫られるリスクがあります。
妊娠前にがんが見つかれば、最善の方法で治療できます。がんの種類や重症度にもよりますが、きちんと治療を受けて寛解(症状が収まり、一定時間経過した状態)すれば、妊活を再開できる可能性があります。
禁煙は必須!できればお酒も控えめに
喫煙は百害あって一利なしの良くない習慣です。もちろん妊活にも悪影響を与えます。
タバコに含まれるニコチンは血管を縮める作用があります。このはたらきで血流を悪化させ、卵子や精子の質を低下させることが知られています。
血流悪化は子宮内膜の成長を邪魔するので、着床の成功率を下げる要因にもなります。
妊娠を希望するなら喫煙は絶対に避けるべきです。
ご自身はもちろん、できればパートナーと禁煙をしましょう。
副流煙も喫煙と同様のリスクがあります。パートナーや同居家族も協力して、禁煙に取り組んでみませんか。禁煙が難しい場合は屋外や換気扇の前で吸うなど、分煙を徹底させましょう。
飲酒は少量でも健康を損ねるリスクがあります。妊活中は少量飲む程度なら問題ないですが、妊娠したら出産、授乳が終わるまではお酒が飲めません。
妊娠してから断酒しても良いですが、今からでもお酒を飲む習慣を改めるほうがいいと思います。
適正体重と有酸素運動の習慣をつける
妊活において、適正体重の維持は非常に重要です。医学的な肥満も、痩せぎみも排卵障害を起こしやすくなります。
過剰なダイエットで生理が止まるのはよく知られています。エネルギーが不足すると、生殖を後回しにして生命維持をせざるを得なくなるからです。
体重が少なすぎると月経周期の不安定化で不妊のリスクが高まります。自分のBMI(体格指数)を確認し、適正体重(BMI22が理想)を目指しましょう。
適度な有酸素運動を取り入れることも効果的です。
ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなどの運動は、全身の血流を改善し、基礎代謝を高めます。適度な運動は肥満の予防・改善にも効果があり、妊娠に適した体内環境が整いやすくなります。
体を動かすとストレス解消にもつながるため、ストレスを溜めやすい妊活期間のリフレッシュにも最適です。
ヨガのように深呼吸を意識した運動は、特にリラックス効果が高い有酸素運動です。
有酸素運動ができれば一番良いですが、毎日が難しい方は日常生活で歩くことを意識しましょう。階段の上り下り、1駅ぶん歩くなど、自分に合う方法で身体を動かす習慣をつけましょう。
公共交通機関がない地方の方は、ショッピングモールの中で歩き回るのも良いかもしれません。
ただし、激しい運動や過剰なダイエットは逆効果になりかねません。無理のない範囲で継続することが大切です。
風疹ワクチンの予防接種を
予防接種用のワクチンにはさまざまな種類があります。中でも風疹・麻疹ワクチンは妊娠中に接種することができません。
妊娠中に風疹にかかると、赤ちゃんに先天性風疹症候群という病気が発症することがあります。難聴、白内障、心疾患などさまざまな障害が起こります。
妊活中ならぜひ、パートナーや同居家族とともに風疹・麻疹抗体を調べましょう。陰性の場合はできるだけ早く、風疹・麻疹混合ワクチン(MRワクチン)の接種を検討下さい。
MRワクチンは在庫が限られています。接種トラブルがあっても自己責任になりますが、海外からワクチン輸入をしているトラベルクリニックなら、早めに接種することができます(要予約)。
風疹は非常に感染力が高く、1人の感染者から5~7人に感染させる力があります。
飛沫感染のためマスクである程度防げますが、同居家族が家に持ち込んだら防ぐのは至難の業です。ワクチン接種が風疹予防に一番効果的です。
なお、麻疹は空気感染するため、マスクでも防御は難しいと言われています。
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