女性は睡眠時間に女性ホルモンの分泌が促され、卵胞の成長などが進みやすくなると言われています。では男性はどうでしょうか。
男性も睡眠時間が短い方は、適度な睡眠時間の方よりも妊娠しにくくなることが統計で分かっています。
きちんと睡眠時間を確保していても、中途覚醒(夜中にふと目覚めてしまう状態)がある男性も、若干の差ではありますが妊娠しにくくなる傾向があります。
仕事の忙しさや妊活のストレスなどで不眠になりやすいかもしれませんが、自分なりのリラックス法を続けて、きちんと眠る習慣を付けましょう。
睡眠時間6時間以下の男性は、8時間の男性の0.62倍しか妊娠が成立しない統計
北米の妊活中カップル1,176組の統計を取った結果、睡眠が6時間未満の男性は、睡眠8時間睡眠の男性の0.62倍しか妊娠が成立しないことが分かりました。
睡眠が足りないというだけの理由で、約4割も妊娠させる力が低下するのは大きな原因と考えることができます。
調査対象者 調査前に6ヶ月以内の妊活を行った男性21歳以上、女性21~45歳
調査期間 最大12ヶ月または妊娠成立時まで、8週間ごと
統計精度 95%信頼区間(100回統計を取って、95回はこの数値になる)
調査前に6ヶ月妊活を行って妊娠が成立しないカップルは、何らかの不妊因子がある可能性があります。アメリカ合衆国の産婦人科学会では、35歳以上の女性のカップルに限り、6ヶ月経っても妊娠しない場合は検査しても良いとされています。
睡眠時間を確保しても、夜中に目覚めてしまう「中途覚醒」をしてしまう男性も、わずかですが妊娠率が低下しています。
中途覚醒が50%あった男性は、そうでない男性に比べて0.93倍の妊娠率でした。医学的に0.93倍はそれほど気にする必要はない数値と考えられます。
しかし中途覚醒はQOLを低下させるので、夜中に目を覚ましやすい男性は、できる範囲で朝までぐっすり寝られる工夫をしたほうが良いでしょう。頭もスッキリして気持ちよく日々を送ることができます。
出典:Male sleep duration and fecundability in a North American preconception cohort study
Lauren Anne Wise.他
2018 Mar;109(3):453-459. doi: 10.1016/j.fertnstert.2017.11.037.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29566862/
パートナーが妊娠しやすい、男性の理想の睡眠時間は7.5時間
上記の統計では、妊娠成立が早かった男性は7.5時間の睡眠を取っていました。
睡眠リズムは個人差があるので無理に7.5時間に合わせる必要はありませんが、ある程度の目標にすべき数値でしょう。
とはいえ、毎日仕事などで忙しくて睡眠時間を削っている男性に、いきなり8時間寝ろというのは酷なものです。人の習慣は、いきなり変えることはできません。
まずは、睡眠時間を6時間以上取れるように生活習慣を改善しましょう。
いちばん良くないのは「睡眠時間が6時間以下」です。6時間以下になると顕著に悪化していることが分かります。「まずは6時間睡眠」の習慣から始めると良いでしょう。
なぜ6時間以下の睡眠で顕著に妊娠率が低下するのでしょうか。この統計ではそこまでの言及はありませんでした。睡眠時に男性ホルモンのテストステロンが分泌されるという考えも、実際は睡眠時間とテストステロンに相関性はないという統計もあります。
原因ははっきりしませんが、睡眠不足が身体に良くないことはだれでも実感するでしょう。身体をしっかり休めるためにも最低6時間、できれば7.5時間睡眠を目指しましょう。
夜更かしはほどほどに。できる限り早寝早起き習慣を
しかし現実は厳しいものです。
「仕事ばかりで帰ってから遊ぶ時間がない」
「子供がまだ幼くて、夜中も育児をせざるを得ない」
という理由が重なると、6時間の睡眠確保も難しいでしょう。
しかし一人目はすぐ生まれたのに次はなかなか授からない、いわゆる二人目不妊の原因は、男性の睡眠不足も原因の一つと考えられます。
育児は避けられない問題ですが、遊ぶ時間の確保は「朝」にすることもできます。
帰って風呂と食事を済ませてすぐ寝てから、翌朝は早起きすることで遊びや勉強の時間を確保することができます。
しかも夜勤でなければ、出社まで時間制限があります。だらだらと遊んでしまう習慣を改善するためにも、朝活の習慣は有効です。
規則正しい睡眠を確保するためには、朝にしっかり目に日光を見る、適度な運動、暗い部屋で寝ることです。
入眠を促すホルモン、メラトニンはセロトニンというホルモンから生まれます。セロトニンは日光を浴びることで生成されるので、「朝に日光を見る、浴びる」ことはとても大切です。できれば日々運動できれば良いですが、それが難しい場合は動くことを意識するだけでも構いません。出社の行き帰りで少し長めに歩く、階段をよく使うなど、身体を動かすことも心がけましょう。
寝る前にスマホやタブレットなどを見ない、部屋を暗くするとことも入眠しやすくなります。
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