自然妊娠で子供を授かりたいなら何歳がリミット?

妊活コラム

妊娠・出産は若い方が望ましい』という考え方は、日本でも広く知られるようになってきました。女性が年齢を重ねると妊娠の確率は下がるのは紛れもない事実です。
しかしキャリア形成の時期に妊娠、出産は負担が大きく、二の足を踏む女性は多いでしょう。
では具体的に、何歳までに産めば間に合うのでしょうか。海外の大規模シミュレーション調査によれば自然妊娠で1人の子どもを望む場合は32歳、2人の場合は27歳までに妊活を始めると、90%の確率で出産できるとされています。

それなら不妊治療をすれば良いと考えるかもしれませんが、限度があります。この統計ではたとえ体外受精を行っても、90%の確率で妊娠、出産できる年齢は35歳までと公表しています。
不妊治療は様々な理由で妊娠を妨げる障害を解決して妊娠に導くことができます。しかし最大の不妊理由「加齢」を解決することは現時点ではできません。

自然妊娠で妊娠、出産を望むなら32歳がリミット?

不妊治療の最新の治療成績をもとに、1万人分のシミュレーションを行った統計があります。
この統計によれば、自然妊娠で授かりたいときは1人希望の場合は32歳まで、2人希望の場合は27歳まで、3人希望の場合は23歳までに妊活を始めると90%の確率で出産できます。
昭和には20代前半で結婚するケースが多く、2人以上の子供を授かる家庭が一般的でした。統計と過去の事例を考えると、自然妊娠で2人以上授かりたいときは20代半ばで妊活を始めるのが良いのでしょう。

重要なのは100%ではなく、90%の確率という点です。治療が難しい不妊原因もあるため、必ず全員が子供を望めるとは限りません。しかし90%は多くのカップルで成立する数値です。



体外受精も限度がある?1人希望でも35歳がリミット

では体外受精を行えば良いのではないか、と考えるかもしれませんが、統計を見る限り過度な期待はできないことが分かります。
体外受精で授かりたいときは1人希望の場合は35歳まで、2人希望の場合は31
歳まで、3人希望の場合は27歳までに始めると、90%の確率で出産できます。
画期的な技術と言われる体外受精ですが、自然妊娠より約3年後にリミットが来ます。残念ながら、現在の医学では卵子の老化を止めることはできません。
では卵子凍結は有効かというと、致命的な欠点があります。卵子は凍結に弱く、解凍する際に壊れやすい弱点があります。卵子の老化に対抗することは、現時点では打つ手がないのが実情です。(ただし受精卵は凍結に強いため、解凍しても壊れにくい性質があります)

体外受精は妊娠に至るトラブルの多くをスキップして妊娠に導く治療法です。
女性が妊娠するためには、卵胞を育て、排卵し、卵管采で卵をキャッチして卵管に取り込むことが必要です。卵子が死ぬまでの時間に精子が卵管を通り、受精します。受精卵は成長しながら7日かけて子宮にたどり着き、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。

この長い過程の1つでもトラブルが出ると妊娠に至りませんが、体外受精は採卵→受精→育ててから子宮に戻す、で完了するため、多くの過程をスキップできます。
たとえば以下のトラブルは体外受精で解決できます。
・卵管が詰まる
・精子が動かない(顕微授精を行います)
・卵管采がうまく卵をキャッチできない
・精子を攻撃する抗体(抗精子抗体)がある(受精卵になると半分は自分自身の細胞になり、抗体に攻撃されなくなります)

もともと体外受精は卵管の詰まりで妊娠できなかった女性の治療法として開発されました。加齢による不妊を解決するために開発された治療技術ではなかったことは、留意すべきでしょう。

キャリア形成と妊娠、出産の両立を視野に

この数値は「90%の確率」であり、この年齢を超えると何をしても妊娠、出産できないとは限りません。35歳以上であっても妊娠、出産するケースはたくさんあります。妊孕性は個人差があり、40代で自然妊娠する女性がいることも事実です。
しかし35歳を超えると妊娠する確率は、たとえ不妊治療を行っても一気に下がります。流産する確率も急激に上がるため、悲しい別れを経験するかもしれません。

20代半ばから30代前半は、女性の生涯のうちで最も妊娠しやすい時期です。しかし仕事のキャリア形成にも重なる時期でもあります。
この大事な期間にどちらを優先させるかを、ぜひご夫婦で検討してください。
現在の日本なら、多くの職種で仕事と出産、育児の両立ができる制度があります。産休や育休、リモートワークなど様々な制度を駆使して、出産や子育てをしながらキャリアを形成することはできます。
一定期間は育児に専念して、お子さんが大きくなったら再就職という方法もあります。

妊娠を希望するなら、「年齢の壁」があります。自然妊娠で1人の子を望む場合のリミットは32歳が目安です。
正しい情報をもとに、自分たちにより合うライフプランを考えていきましょう。



参考サイト

不妊College-データに基づく不妊治療の基礎知識―

Realizing a desired family size: when should couples start?

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