女性の不妊の原因は主に5つあります。排卵・卵管・子宮・頸管・免疫トラブルを解説

妊活コラム

不妊の原因は様々ありますが、不妊治療は原因を主に5つに分けて治療を行います。
不妊の原因は人それぞれで、複数の原因が絡み合っていることは珍しくありません。しかし加齢を除き、多くの場合は5つの原因のどれかが関わっています。
この記事では5つの原因と治療法、その他の原因について解説します。

女性の不妊原因は主に5つあります

日本では、女性の不妊原因を以下の5つに分類しています。
・排卵障害
・卵管閉塞
・子宮のトラブル(子宮内膜症・子宮筋腫・奇形など。ホルモン剤治療や手術などで治療します。)
・子宮頚管のトラブル(子宮頚管粘液が少ない。粘液を増やすためにホルモン治療を行うか、人工授精で治療します。)
・免疫(精子を攻撃してしまう抗体がある。免疫抑制剤や体外受精などで対応します。)

特に多い原因は「排卵障害」と「卵管閉塞」です。
排卵は脳の視床下部がコントロールしています。視床下部からすぐ下にある下垂体に指令が下り、下垂体から卵巣へホルモンを分泌して排卵を促します。
しかし視床下部はストレスに弱く、過剰なストレスが続くとうまく機能しなくなります。「ストレスで生理が止まった」という話はよくありますが、その原因は視床下部とトラブルです。
他にも過剰なダイエットやBMI30を超える肥満、授乳中に盛んに分泌されるホルモンが多すぎる高プロラクチン血症、卵巣で育つ卵胞が多すぎて育たない多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、生まれつき卵巣内の卵胞が少ない早期閉経などがあります。

どのような原因であれ、排卵障害はまず排卵誘発剤で排卵を目指します。これだけで排卵が回復することがあります。併せて適正体重に戻す、ストレスをできるだけ解消するなど、自己管理が求められます。
たとえ早期閉経であっても、わずかでも卵巣に卵子があれば採卵して体外受精で妊娠できる可能性はあります。

高プロラクチン血症の場合はドパミン作動薬という薬を服用し、プロラクチンの値を下げます。甲状腺機能低下症を併発する場合は、甲状腺ホルモン剤を服用します。精神疾患や消化器系の薬の副作用で発症することがあるので、その場合は服薬を調整する必要があります。

卵管閉塞は性感染症や子宮内膜症、手術などが原因で卵管が詰まってしまう(または狭くなる)症状です。卵管が塞がると卵子や精子が通れなくなるので妊娠ができません。
卵管の詰まりを取り除くと、一時的に症状が改善します。軽度の詰まりや狭窄は通水検査、卵管造影検査で、重度の詰まりは卵管鏡下卵管形成術(FT)などで改善することがあります。しかし治療を行っても一定期間で再び卵管が塞がってしまうため、体外受精で妊娠を目指すこともあります。

この5つ以外にも、確率は低いですが遺伝性の不妊もあります。X染色体が1本しかないターナー症候群、染色体が入れ替わる相互転座などは女性の不妊原因になります。排卵があれば顕微授精や着床前診断などで妊娠率を上げることができます。



これらの障害は、ある程度は治療で改善することができます

これら5つの原因のうち、排卵と子宮トラブルを除けば体外受精で妊娠する確率を大幅に上げることができます。
自然妊娠は排卵→卵子を卵管采が掴み、卵管へ移動→精子が子宮頚管から子宮へ入る→受精→卵管を通りながら胚盤胞まで成長→子宮に着床、という長い過程を経て起こります。
体外受精はこの長い過程をショートカットして、採卵と採精→体外受精→卵管内を再現した環境で育成→移植、で妊娠を目指します。
受精卵になれば免疫機構で排除されることもありません。子宮経管や卵管のトラブルも関係なく妊娠できます。

その意味でも、排卵障害の克服が不妊治療の成功に大きく関わります。
現代の医療では精子と卵子が揃わないと妊娠はできません。今後はiPS細胞などで精子や卵子の細胞を創り出す技術が実用化される可能性はありますが、現時点では実用化には遠い段階です。

治療ができない、最大の不妊要因は「加齢」。早めの検査を!

不妊症は上記の5つ+αが原因ですが、約10~15%は原因がはっきり分かりません。(原因不明不妊)
しかし、加齢で原因不明不妊の割合が増えることが分かっています。特に女性は卵子の老化が原因で、加齢で不妊が進むことが知られています。

たとえ体外受精を行っても、女性の年齢が高いと成功率は大きく下がります。
特に35歳以上の女性は、はっきりと妊活の意欲がなくても、できるだけ早く不妊検査を行うと良いでしょう。
加齢で妊娠しにくくなる原因は卵子の老化だけではなく、母体にも影響があります。子宮筋腫や子宮内膜症は、年齢を重ねる(=月経の数が多い)ほど悪化しやすい傾向があります。糖尿病など生活習慣病リスクは、加齢で上がることが知られています。

後になって後悔しないためにも、少しでも子供が欲しいと願う方はぜひ、検査だけでも早めに受けましょう。毎朝基礎体温を測り、表にするなど、自己管理も併せて行うことをおすすめします。



参考サイト

日本生殖医学会 不妊症の原因
日本産婦人科医会 基礎から学ぶ不妊治療(2)一般不妊治療

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