初めての子は体外受精だったから、次の子も不妊治療のお世話になるのか…
と悩むご家庭は少なくありません。
凍結胚が残っているなら、いずれはお迎えする必要があります。しかし、そのような事情がない場合は過度に不安にならないほうが良いかもしれません。
体外受精で妊娠、出産した女性でも、その後に自然妊娠する可能性が約20%あることが分かりました。
女性が若ければ若いほど可能性が上がりますが、必ず病院に行かなければ妊娠できないわけではありません。
「奇跡の妊娠」は意外と多い?中には突然に妊娠に戸惑う方も
5,180人の女性を2年から15年追跡調査したデータを解析したところ、約20%の女性が出産後に自然妊娠していることが分かりました。
さらに、追跡2~3年のデータを解析したところ、16~18%の女性が自然妊娠したことが解明しました。
初めての妊娠、出産が体外受精や顕微授精の場合は、自力で妊娠するのは奇跡に近い…そのような意識が主流でしたが、それが間違いであることが分かりました。
「奇跡の妊娠」は珍しくない、という新たな事実は、多くの女性にとって希望になるでしょう。
さらに第二子の自然妊娠は、第一子出産後3年以内に起こりやすいことも分かりました。
最長15年の追跡調査で20%、2~3年の調査で16~18%という数値を見ると納得するでしょう。
多くのきょうだいは2~3年の年の差があるので、3年以内で自然妊娠するのは育児上でも理想的です。
約20%という数値が多いか、少ないかはその人の考え方で変わるかもしれません。
しかし「奇跡」と呼ぶにはあまりにも多い確率なのは間違いないでしょう。
出産後は一定期間、避妊の対策を
「体外受精や顕微授精で子供を授かっても、未来に自然妊娠する可能性がある」ことは大変喜ばしい事実です。しかし喜んでばかりはいられません。
妊娠、出産、育児はエネルギーが必要なので、予想外のタイミングで授かると人生設計を見直す必要があります。
まだ子供が幼いのに第2子を妊娠したら、不安定な妊娠中に長子の育児まで行わなければいけません。
近くに育児をサポートしてくれる人がいれば良いですが、ワンオペなら大きな負担になりかねません。
最近は公的補助が増えていますが、妊娠中や出産育児は多額の費用がかかります。その資金の工面ができないうちに授かると、嬉しいけれど大変なことになりかねません。
何より、妊娠するという心構えがなく、予想外のハプニングに苦労したという声もあります。
そのため、出産後、次の子が欲しいと思うまでは避妊することが必要です。
もし自然妊娠するなら3年以内の確率が高いので、3年未満でまだ授かってほしくない時は避妊しましょう。
英国では顕微授精で妊娠、出産した43歳の女性が自然妊娠したケースが報告されています。年齢は関係なく、「閉経するまでは妊娠の可能性あり」という心構えが必要です。
不妊原因がはっきりしている場合は、病院で治療を
不妊といっても原因はさまざまです。排卵障害や精子を攻撃する抗体、卵管閉塞など原因は多く、排卵障害も体重が少なすぎる、または多すぎることが原因であることが珍しくありません。
今まで体重に問題があって排卵障害があった方は、妊娠、出産、育児を経験して適正体重になり、排卵が正常化した可能性があります。この場合は20%の中に入る可能性はありえます。
しかし、不妊原因がはっきりしているカップルは、次の子が授かりたいと思ったら病院に通院し直すことをおすすめします。
原因が分かっているのに放置していると、せっかく授かるチャンスを無にしかねません。
不妊の原因は多く、中には原因が分からないまま妊娠、出産に至るケースもあります。
原因が分からなくても体外受精を行うと、妊娠が成立することがあります。病院も原因追及よりも結果を優先する傾向があるので、「不妊の理由は分からないけれど、無事に授かったから良し」ということは珍しくありません。
不妊の原因がはっきり分かり、治療で改善するなら治療を受けることを優先しましょう。
そのほうが確実に第2子の妊娠、出産につながります。
まとめ
この論文は女性の年齢を考慮していない解析です。そのため年齢別の妊娠率は分かりません。
女性は35歳を超えると、妊娠率が低下します。年齢が上がるほど妊娠しにくくなるので、20%に入るのが難しくなることは間違いありません。
43歳の女性が自然妊娠したケースもありますが、この年齢になると自然妊娠の確率はとても低くなります(約1%)。ただし、低くても妊娠する確率はゼロではありません。
確実に第2子を授かりたいなら、授かりたいタイミングで病院に行くのが理想です。
しかし、授かってもそうでなくても自然に任せる、という場合は自然妊娠を目指すのも一つの選択です。
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