妊活の一環でサプリメントを飲んでいる方は珍しくありません。妊活情報メディアや口コミ、クリニックなどで紹介されることも多く、口にする機会は増えています。
実際に、厚生労働省からサプリで摂取することを推奨する栄養素もあります。葉酸サプリは赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げる作用が知られ、妊活中から摂取したい栄養素です。しかし何となく「妊活サプリだから」と栄養素を把握せずに飲む方は、決して少なくありません。
妊活中にサプリメントを利用する人は多く、葉酸など厚生労働省が摂取を推奨する栄養素もあります。しかし「サプリとは何か」を十分に理解していない人も多く、国立保健医療科学院の大規模調査では、健康食品の分類を「よく知らない」と答えた人が41%、自分が飲んでいるサプリの栄養素を把握していない人も一定数いました。情報源はウェブやSNSが中心で、複数のサプリ併用による過剰摂取リスクも指摘されています。サプリはあくまで食品であり、妊娠率を上げる“魔法の薬”ではありません。まずは炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂る食生活が基本で、葉酸や鉄など不足しやすい栄養素のみサプリで補う考え方が大切です。高額なサプリに頼るより、食事の見直しと必要に応じた医療機関への相談が安心につながります。
「サプリとは何か」を、きちんと把握していない人が4割も
妊活をする方にとっては身近なサプリメントですが、その実態ははっきりしていませんでした。そのため国は実態調査のため研究機関に公費を払い、大規模な調査を行いました。
国立保健医療科学院などの調査では、妊活をする2万人の女性(うち、2次調査900人)を対象にした大規模な調査を行いました。
健康食品の分類を「よく知らない」と答えた人が41%、自分が摂取しているサプリに「どんな栄養素が含まれているか分からない」と答えた方も一定数いました。サプリメントの種類は葉酸や鉄、カルシウムなど妊活に欠かせない栄養素ですが、栄養素の含有量や役割を確認せずに選んでいるかもしれません。
ちなみに、厚生労働省が定める健康食品は、以下を差します。
・医薬品以外で健康の維持、増進に役立つと宣伝して販売する食品(サプリメントはこのカテゴリーです)
・健康効果を期待して食べる食品(一般的に、健康に良いと言われる食品全般)
健康食品には法律上の規定はありませんが、「保健機能食品制度」という国が定めた安全性や有効性に関する基準があります。プレーンヨーグルトなどでよく見かけるトクホ(特定保健用食品)はその代表です。
また、サプリメントを選ぶきっかけはウェブサイトやSNSが中心で、医療機関から情報を得ている人は2割程度にとどまっていました。摂取するサプリメントは1種類だけの方が5割以上でしたが複数併用している人も多く、栄養素の過剰摂取リスクがあることも分かりました。
さらに、健康食品を摂取する目的は「妊娠の確率を上げるため」と回答した方が44%いました。
出典:妊活者を対象としたいわゆる健康食品の提供・消費等の実態把握と課題抽出に関する研究
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202124045A-buntan2_1.pdf
食品の一種に過ぎないサプリメントを、妊娠しやすくなる魔法の薬のように考える方が少なくないことが分かります。
まず実践したい「食生活の10のポイント」
サプリメントは、食事で不足しやすい栄養素を補うための「食品」です。
鉄分不足の時に鉄サプリを摂取すると貧血が収まるように、栄養が偏っているときに取り入れると調子が良くなる実感があるかもしれません。
しかしサプリメントは飲んでいるだけで妊娠しやすくなる魔法のような薬ではありません。もし、それほど効果のある栄養素があれば医薬品として病院で処方されるでしょう。
サプリで補うことも大事ですが、まずは出来る範囲で普段の食事を見直しましょう。
医薬基盤・健康・栄養研究所が提唱する「食生活の10のポイント」は、妊活中から出産後までの生活ポイントをまとめています。
食事は炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取しましょう。「主食」を中心に十分なカロリーを摂ることを意識してください。
タンパク質は主菜で十分に摂取し、ビタミン、ミネラルは副菜で、乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に摂取することを意識しましょう。
ただし、非加熱のチーズやスモークサーモンは食中毒リスクがあります。レバーに多いビタミンAは過剰摂取になりやすいため、食べる量はきちんと管理しましょう。
しかし、バランスが良い食生活を送っても葉酸は不足しがちです。月経などで出血が多い女性は鉄分不足になりやすくなります。このようなケースではサプリメントで補うことが妊活にも、ご自身の健康にも寄与するでしょう。
サプリメントに重課金するよりも、まずは基本を押さえましょう
繰り返しになりますが、サプリメントは食品であり、薬ではありません。
栄養摂取の主役は日々の食事です。仕事や通院などで忙しいと思いますが、できる範囲で良いからまずは食事を整えましょう。
この調査では妊活で使ったサプリメントなどの費用が累計数万円の方が大半でしたが、中には100万円を超える方もいました。
妊活は妊娠の可能性を上げる活動ですが、サプリに重課金してもゲームのように確率を上げる効果が得られるとは限りません。葉酸サプリも高額なものがありますが、ドラッグストアなどで販売している安価なサプリでも十分補えます。
サプリメントの摂取は医療機関などで一度ご相談すると安心です。
参考サイト
妊活者を対象としたいわゆる健康食品の提供・消費等の実態把握と課題抽出に関する研究
厚生労働省 いわゆる「健康食品」のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ホームページ 食生活の10のポイント
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