今日から夫婦で禁煙に取り組みましょう!喫煙はなぜ妊活にNGなのか?

妊活コラム


ひと昔前までは職場はもちろん、道路や電車の中でも喫煙が当たり前でした。
しかし喫煙は肺がんを引き起こすなど健康被害があり、禁煙は大きな課題でした。
WHOは1989年(平成元年)に、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指した「たばこか健康かに関する活動計画」を始動しました。
日本では1993年(平成4年)から本格的に啓発活動が始まり、現在はWHOが目標にした「喫煙しないことが一般的な社会習慣」が浸透しつつあります。

しかしまだ喫煙習慣は途絶えず、男性の27.1%、女性の7.6%は喫煙者です(厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」令和元年より)。
喫煙習慣は妊活をする上では、百害あって一利なし。
なぜ喫煙が妊活に良くないのか、禁煙しやすいコツを紹介します。

男女別・妊活が妊活に良くない理由

タバコに含まれるニコチンは覚醒作用があり、血管を縮めるはたらきがあります。
タバコを吸って落ち着くのはこの作用のためですが、血管が縮まる=血行が悪くなるという意味です。
特に女性は血行が悪化すると卵胞や子宮内膜や育ちにくくなり、妊娠しにくくなります。

さらに、タバコに含まれる一酸化炭素は酸素の吸入を妨げます。
タールは肺にこびり付き、全身を蝕む成分です。

喫煙が妊活によくない理由-男性

精子の運動率低下、質の低下

精子を生成するためには十分な酸素と栄養が必要です。
血管が縮まると運べる酸素と栄養が減ってしまい、精子の運動率低下や質の低下を招きます。

2型糖尿病を引き起こすリスクの上昇

あまり知られていませんが、喫煙は2型糖尿病を引き起こす要因のひとつです。
糖尿病には生まれつきインスリンが不足している1型と、生活習慣で発症する2型があります。
どちらも毛細血管を傷つけ、勃起不全やEDを引き起こす、厄介な病気です。
糖尿病の治療は血糖値を安定させる薬やインスリン注射などを行い、同時に生活習慣の改善が必要です。

喫煙が妊活によくない理由-女性

卵胞、子宮内膜の成長を妨げる

喫煙をすると酸素不足や血管の縮まりを起こし、子宮や卵巣への酸素と栄養が減ります。
卵胞の成長を邪魔して、子宮内膜が育ちにくくなります。
どちらも妊娠に必要不可欠な要素なのに、どちらも悪化するため妊娠しにくい体質になりかねません。

子宮頸がんを誘発する

喫煙は、子宮頸がんを誘発します。
子宮頸がんとは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頚部に寄生して発症するがんです。
性行為の経験がある人なら生涯に一度は感染するほど身近なウイルスですが、免疫のはたらきで退治されることがほとんどです。
しかし一部の方はウイルスが退治できず、長い間感染が続き、子宮頸がんを発症します。

子宮頸がんを発症したら、治療が終わるまで妊活はできません。
進行した場合は子宮を摘出しなければなりません。そうなると妊活は不可能になります。
もし妊娠後に発覚したら、状態によっては子供を諦めざるを得ない選択を強いられます。
禁煙はもちろん、定期的な健診と子宮頸がんワクチンの接種で発症リスクを下げられます。
(不妊治療で婦人科を受診している場合は、定期的に健診を行います)

禁煙はカップルで行いましょう

近年は禁煙が社会に根付いたのもあり、夫婦どちらも喫煙家の家庭は減っています。
しかし家族のだれかが喫煙しているだけでも、副流煙で悪影響を及ぼします。
妊活を成功させたいなら「カップルで」禁煙を成功させることが第一歩。
もし妊娠できても、喫煙を続けると子供の発育不良や、生まれても突然死などのリスクを上げてしまいます。
ぜひ妊活中から禁煙を達成しましょう。

禁煙外来を受診する

いちばんスムーズに禁煙を達成し、続けられる方法は治療です。
喫煙が辞められないのはニコチン中毒という、歴然とした中毒症状です。無理に辞めようとすると禁断症状で心身とも苦しくなるでしょう。
禁煙外来なら、貼り薬でニコチンを少量取り込みながら、徐々にニコチン中毒を改善していきます。
喫煙習慣を改善するためのカウンセリングも複数回行い、「喫煙習慣」そのものを解消するように促します。
禁煙治療は必ず、決められた回数の通院を行うことが大切です。禁煙に成功しても失敗しても、通院を辞めずに続けましょう。

健康的な代替策を取り入れる

気晴らしに喫煙する方は多いものです。
喫煙で気晴らしができないなら、他の方法を試すのが禁煙の助けになるでしょう。
一番手っ取り早いのはコーヒーや紅茶などの嗜好品ですが、特に女性はカフェインの過剰摂取は妊活の妨げになります。
ぜひハーブティーやカフェインレスなどを試してみましょう。
香りが良いハーブティーは、気晴らしに最適です。ただし、南米で飲まれるハーブティー、マテ茶は少量ながらもカフェインが含まれています。

軽い運動も気晴らしには最適です。ぜひ夫婦で楽しめる運動を見つけてみましょう。



参考サイト

厚生労働省e-ヘルスネット 喫煙者本人の健康影響
厚生労働省e-ヘルスネット 禁煙治療ってどんなもの?
東京都妊活科 不妊症Q&A
日本医師会 子宮頸がんの原因
美加レディースクリニック タバコと妊娠の関係

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