新型コロナウイルスが妊活に悪影響があることは『新型コロナウイルス感染は、妊活にも悪影響を与える可能性』でご紹介しました。
コロナ感染で男性の精子数、運動率が大きく下がることは知られています。
時間が経てば改善することが大半ですが、やはり限りある時間で妊活をする以上、感染しないに越したことはありません。
今回は新型コロナウイルスが妊活に及ぼすと考えられる影響と、できるだけ感染しない対策法を紹介します。
新型コロナウイルスはミトコンドリアの働きを低下させる可能性
新型コロナウイルスは、人類と遭遇してまだ4年しか経っていません。
そのため分かっていないことが多く、未知のリスクがあることを考慮すべきでしょう。
当初は重度の肺炎を起こし、短期間で亡くなる恐ろしいウイルスでしたが、ワクチン接種が行き届いたため、肺炎症状は起こりにくくなりました。
しかし、急性症状が治まった後に強い倦怠感や味覚、臭覚障害など「後遺症」が起こることが問題になっています。
ひどい場合はベッドから起き上がれないほど強い倦怠感に襲われ、失業するなど深刻な症状を起こすことがあります。
アメリカでは400万人以上の人が後遺症が原因で就労困難者になり(2022年6月現在)、深刻な社会問題になっています。
日本でも感染法2類から5類に移行し、感染者が増えているため、同様の問題が起こるリスクがあります。
さらに厄介なのは、新型コロナウイルスは何度でも再感染することでしょう。
新型コロナウイルスはRNAウイルスという種類で、変異しやすい特徴があります。
感染して抗体を身に着けても、数か月ほどで再び感染リスクが上がります。
一度感染すれば二度と感染しない麻疹やおたふく風邪とは、全く違うウイルスです。
以前からいるヒトコロナウイルスは風邪の原因ですが、風邪は何度でも感染します。
人生を破壊する後遺症を起こす可能性がある病気が「風邪のように何度でも感染する」ことが、新型コロナの恐ろしさでしょう。
この強い倦怠感の原因はまだ分かっていません。
血管や内臓に炎症を起こすことが原因のひとつと考えられていますが、ミトコンドリアの機能低下を引き起こすから、という説があります。
ミネソタ大学の感染症研究政策センター (CIDRAP)から、心臓や肝臓、腎臓のミトコンドリアに損傷を与える可能性があることが発表されました。
感染後、肺のミトコンドリアは回復したものの、心臓、肝臓、腎臓のミトコンドリアは回復しなかったという結果になりました。
栄養があってもミトコンドリアが活動できないと、細胞にエネルギーを与えることができません。これが強い倦怠感の原因ではないかと考えられています。
ミトコンドリアは細胞のエネルギーを生成するエンジンのような器官です。すべての細胞にあり、細胞を活性化させる原動力です。
卵子の老化は、卵子の細胞内にあるミトコンドリアの数が減り、エネルギー生成が鈍ることが原因と言われています。
この研究では卵巣や卵子についての報告はありません。しかし卵巣や卵子にも悪影響がある、と仮定して対策するほうが良いでしょう。
ただでも加齢で卵子の老化が起こるのに、さらに追い打ちをかけられたら妊活の妨げになるのは間違いありません。
感染対策は「三密を避け、マスクと換気、手洗いの徹底を」
新型コロナウイルスの厄介なところは、「発症する前からウイルスをばら撒く」ことです。
マスクの着用は、この「発症前から排出されるウイルスを遮断する」効果が抜群です。
不織布マスクを付けると吐き出す飛沫の80%、吸い込む飛沫を70%防ぐことができます。
面倒なマスクですが、実はかなり高い感染予防効果が期待できます。電車やバスに乗る時、スーパーなど屋内に行くとき、屋外でも人が多い場所では、必ず不織布マスクを隙間なく装着しましょう。
髪や顔を触った後に目をこする、鼻に触ると感染するリスクがあります。
手洗いは副次的な効果ですが、新型コロナだけでなくノロウイルスなど消毒用アルコールが効かないウイルスや細菌にも有効です。
感染症全般を防ぐため、できるだけこまめに手洗い、手指消毒を行いましょう。
ただし、あくまで副次的な対策なので、これだけ徹底しても感染を防ぐのは難しいです。
密閉・密集・密接の「3密」を避けることが最大の感染対策になります。
換気の悪い密閉空間にいる時は、できるだけ換気を行いましょう。
花火大会など密集空間はなるべく避け、ネットやテレビ中継で楽しむと安全です。
間近でマスクを外して会話や発生をする密接空間では、マスクを付けて飛沫を防ぎましょう。
この3つの要素が重なるとクラスター(多数の人に感染させる)が起こるリスクが上がります。
出典:首相官邸「三つの密を避けましょう」
新型コロナウイルスが5類に移行して、マスクを外す人が増えています。「マスク着用は自己判断」という方針を、マスク解禁と誤解する人が多いようです。
しかし、これらのことを知ると、「自己判断でマスクを付ける」ことの重要さが分かります。
無自覚にウイルスを拡散させている人が増えているため、自衛しなければ防げません。
3密を避けるために仕事はできるだけリモートで行う、時間差出勤をするなどで、密集空間を出来る限り避けることが感染対策になります。
ワクチン接種は感染した時のダメージを軽減します。
定期的なワクチン接種は、万が一感染しても軽症で終わり、後遺症リスクを若干ですが下げることができます。リスクと効果を考慮して接種を検討しましょう。
参考サイト
JETRO 米国で新型コロナ感染後遺症による就労困難者、フルタイム当量で約400万人とシンクタンク推計
本通トータルヘルス内科クリニック 新型コロナウイルスに対するマスクの効果について
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