あらかじめゴールを設定しましょう。妊活の『終え方』を考える

妊活コラム


妊活の終わり方でベストなのは無事の出産です。
しかし、そこまで至れないケースも珍しくありません。さまざまな事情で妊娠や出産にたどり着けないことはあります。

妊活を始めるときに、おおまかで良いので「妊活の終え方」をあらかじめ決めておくことをおすすめします。
残念ながら「妊活にはタイムリミットがある」からです。

卵子の老化と妊娠率

なぜ「終え方」を考えないといけないのでしょうか。
それは「女性の卵子は老化して、いつか妊娠できなくなる日が来る」からです。
チャレンジしたくても物理的に妊娠できなくなる、というのは、抗うことができない事実です。

何故なら、卵子の元の細胞(卵母細胞)は生まれる前に一生分作られて、その在庫を使い続けるからです。
あなたが30歳なら卵子の元は31歳、40歳なら卵子の元は41歳です。
常に細胞分裂を繰り返してフレッシュな細胞が生まれる精子とは、まったく異なるのが卵子です。「女性は若いうちに結婚、出産を」と言われるのは、このためです。
人間社会がどれだけ変化しようが、人体は変化しません。

さまざまな不妊原因を解決できる高度不妊治療(体外受精・顕微授精)でも、卵子の老化は解決できません。その証拠に、女性の年齢によって成功率が大きく変わります。
体外受精でも1回の移植で出産まで至れるケースは30歳で32.6%、35歳で27.9%です。
出典:日本産婦人科学会 artデータブック 2020年
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2019data_202107.pdf

若い世代でも意外と成功確率が低いと感じるかもしれませんが、もともとヒトは他のほ乳類に比べて、妊娠率が高くありません。
そのため、すべての世代で移植を何回か行うのが一般的です。

35歳を超えると、体外受精でも出産率は急激に下がります。
38歳で20.7%、40歳で14%、45歳で0.9%と、確率は加速度的に下がっていきます。



妊活を始める前に「ここまで」を設定する

高度不妊治療にチャレンジする場合、(方法によりますが)1回の採卵で複数の卵子が採取できます。
採取した卵子を受精させ、移植できるまで育つことができた胚が複数あると、一部は凍結して何度か移植できるチャンスがあります。
採卵~1回目の移植までは治療内容によりますが、実費で100万円ほどかかることがあります。
2022年5月から保険適用が始まりましたが、3割負担でも30万円が必要です。

さらに移植を繰り返すたびに万単位の額が必要です。
薬代、胚の凍結・解凍費用はもちろん、交通費などの費用ものしかかります。
これだけ苦労しても、40歳では14%の人しか出産できません。

これだけ努力しても採卵ができない、採卵できても移植できるまで育たないことも珍しくありません。
この場合は若干費用が安くなりますが、それでも大変な負担です。

不妊治療を始める前に、パートナーと話し合って「ここまで頑張る」と予定を組みましょう。
決めることは予算額でも、治療期間でも構いません。「(出産以外の)ゴールを設定する」ことは、妊活に限らずとても大切なことです。
ゴールを設定しないと、いつまでもズルズルと治療を続けて、身体や財産に深いダメージを残します。

悲しい事実ですが、年齢が上がると流産率が上がる

さらに考慮しないといけないのは、流産率の上昇です。
妊娠しても一定の確率で流産します。流産は非常に悲しい出来事で、その後の人生に暗い影を落とします。
この悲劇は高齢になるほど起こりやすくなります。ある程度の高齢になると「妊娠しても流産する」可能性が非常に上がるのです。

たとえば40歳女性が体外受精をすると、22.3%の方は妊娠します。しかし出産できるのは14%の方だけ。残りは途中で流産や死産を経験しています。
さらに年齢が上がるとさらに流産率が上がります。

苦労の末にやっと妊娠できたけど、流産してしまった。
このようなケースが日常的にあるのが不妊治療です。

まとめ

不妊治療は保険治療が適用されましたが、今でも高額な治療であることに変わりはありません。
しかも高度不妊治療でも女性の加齢という壁はクリアできません。
「妊娠率を上げる」ことはできますが、妊娠、出産ができるかは時の運です。

不妊治療は苦しさと悲しいことの連続です。
無事に授かれば良いですが、そこまで至れない、授かっても流れてしまうなど、人生が狂うほどの負担を背負うこともあります。

だからこそ「始める前に終え方を」しっかり設定しておきましょう。
薬の副作用で苦しくても、期限を区切っていれば耐えられます。
もちろん、辛くなれば予定していた期間より早く辞めるのは問題ありません。問題なのはまだやれる、まだチャレンジできるとズルズルと治療を続けてしまうことです。
一概に言えませんが、確率を考えると、治療期間が長ければ長いほど不利になります。

もし子供が授かって出産できても、子育てという一大イベントが待っています。
高齢出産で子育ては大きな負担になることも、頭の片隅に留めておきましょう。



参考サイト

はらメディカルクリニック 不妊治療の終結を一緒に考える会 説明会・相談会
はらメディカルクリニック 不妊治療 | 年齢にとらわれず成功率を上げるには
慶応義塾大学病院 当院での不妊治療の保険適用を開始致しました

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