自己流の妊活は半年で卒業?病院に行くべきタイミングは?

妊活コラム


妊活を始めても、なかなか授からないことはよくあります。
ヒトの妊娠率は年齢で大きく左右されますが、最大でも20%強くらいです。
願っても、その場で授かることのほうが珍しいのです。

しかし、医療の力を借りないと妊娠が難しいことも珍しくありません。
タイミングの指導だけでも妊娠するケースもあるので、なかなか授からないときはぜひ婦人科を受診しましょう。

セルフ妊活後、おおよそ半年を目途に受診を

WHOや日本産科婦人科学会では、「1年間の不妊期間を持つもの」を不妊症と定義します。
妊娠を望む夫婦が毎月タイミングを取れば、1年以内に80%、2年以内に90%妊娠します。
逆に言えば、きちんとタイミングを取っているのに妊娠しないのは、妊娠のメカニズムのどこかでトラブルが起こっていると考えられます。
そのトラブルを解決、または改善して、妊娠を目指すのが不妊治療です。

実はこのトラブルは、タイミングが排卵期に合っていないなど、初歩的なミスも含まれます。
医師が正確なタイミングの指導を行うのも、不妊治療の一環です。
卵管の詰まりも不妊の原因ですが、軽度の詰まりなら、ちょっとした処置ですぐ改善します。
病院に行くのには抵抗があるかもしれませんが、一定期間経っても授からない場合はぜひ受診しましょう。

受診の目安ですが、近年は「半年を目途に」と指導する病院が増えています。
特に、以下の方は半年を目途に受診をすることをおすすめします。
・女性が35歳以上
・男性が高齢

女性は35歳を超えると妊娠率が大きく下がります。
30歳の時に不妊原因が分かればすぐに対策して妊娠できたのに、35歳で見つかると妊娠まで時間がかかるおそれがあります。
男性は女性ほど年齢で左右されませんが、高齢になると男性も妊娠させる力が衰えていきます。



こんな症状がある時は、すぐに病院へ

以下の症状がある場合は、できるだけ早く受診しましょう。高い確率で妊娠しにくい可能性があるからです。
・月経周期が不安定、または数か月に一度しかない
・無月経
・梅毒など、性病に感染した経験がある(治療が終わっていても)
・子宮内膜症
・骨盤腹膜炎を発症したことがある
・(男性のみ)新型コロナウイルスに感染した

月経周期が不安定、または数か月に一度しかない場合は、排卵のタイミングを把握するのが難しくなります。
数か月に一度しか月経が来ない場合は、排卵障害を起こしている可能性もあります。
そのため自己流で妊活をしても旨くいかない可能性が高いと考えられます。
月経が来ない場合は排卵していません。妊娠を望むなら、ただちに治療が必要です。

梅毒やクラミジアなど性病は卵管を詰まらせるなど、不妊の原因になります。
子宮内膜症や子宮筋腫があると、妊娠しにくいことがあります。婦人科で適切に検査を受けながら治療を受けるのが、妊娠への近道になります。

現在、新たな不妊リスクに新型コロナウイルスがあります。
新型コロナウイルスは、男性の妊娠させる力を弱らせ、時には奪い取ることがあります。
特に精子を造る能力にダメージを与えやすいと言われ、総精子量、精子の運動率の低下が起こりやすいという統計があります。
スペインの調査では「低下は見られたものの、WHOの基準範囲内」という統計結果でしたが、中には自然妊娠が難しくなる可能性が考えられます。
精子が新たに造られるのには約78日かかるため、感染後おおよそ3か月後に検査を受けると良いかもしれません。

新型コロナウイルスは血管内に炎症を起こすウイルスです。特に毛細血管を傷つけるため、EDなどを引き起こすリスクもあります。
この場合は発症後10日を経ってから、できるだけ早めに泌尿器科か不妊治療専門の病院を受診して下さい。(男性不妊の治療を行うのは、泌尿器科です)

病院での不妊治療は何をするのか

病院を受診すると、女性は1周期かけて数回ほど病院に通院し、妊娠トラブルがないか検査を行います。
女性の検査内容は血液検査(女性ホルモン、性病などを調べます)、内診(卵巣や子宮の状態を超音波で測定します。同時に子宮頸がん検査も行います。)、子宮と卵管のレントゲン撮影(卵管造影検査)です。
内診はなかなかセンシティブな検査ですが、妊娠すれば妊婦健診で毎回行うものです。今から慣れておきましょう。

男性の検査は精液検査です。女性に比べると手軽と思いがちですが、男性のプライドを深く傷つけるリスクがある検査でもあります。

不妊治療に抵抗がある方もいますが、行うことは治療です。
現代の医学では人間を人工的に造り上げることはできません。排卵、受精、着床、という妊娠のメカニズムに沿ってサポートするだけです。
ケガをすれば外科を受診する、風邪をひけば内科を受診するのと同じで、不妊治療では婦人科や泌尿器科で不妊原因を探し、治療を行います。

病気を治療するのは当然のことで、うしろめたさを感じることはありません。
タイミング指導だけでも授かるケースがあるので、何も問題がなくても半年を目安に検査を受けに行きましょう。



参考サイト

公益社団法人 日本産科婦人科学会「不妊症」
CareNet 新型コロナ、軽症でも精子に長期ダメージ

関連記事

特集記事

人気記事ランキング

  1. 1

    妊活中に避けたいNG行動は?無理ない範囲で改善しましょう。

  2. 2

    精子はできるだけ溜めておいた方がいいの?

  3. 3

    妊活、どのタイミングで病院にいくべきか

  4. 4

    若ければ不妊にはならないって本当?

  5. 5

    過剰なダイエットも太りすぎもNG!妊娠しやすい女性の体型と食生活

  6. 6

    妊活中から新型出生前検査のことを知っておきましょう!

  7. 7

    精子は熱に弱いって本当なのですか?妊活中にサウナはOK?

  8. 8

    不妊治療の初診はどんなことをするの?

  9. 9

    妊娠活動中の基礎体温の正しい測り方

  10. 10

    男性も無理のない範囲で始めよう!男性不妊の原因と改善法

最近の記事

  1. 魚を食べると、子供の神経発達遅延を減らす効果が判明しました。

  2. 「卵子凍結」は万能ではない?!凍結卵子は質が下がりやすい難点があります。

  3. 毎日ナッツを食べると男性の生殖能力が上がる?注意が必要です

  4. 今すぐ麻疹抗体の確認を!妊活、妊娠中に麻疹が起こす悪影響は?

  5. 漢方薬が急に不味くなった?無理に飲んでは良くない理由


TOP