不妊症になりやすい女性には、どのような傾向があるのでしょうか。
健康でも35歳以上の高齢の方は妊娠しにくくなります。月経不順、子宮内膜症や子宮筋腫がある方や性病に感染したことがある方も自然妊娠が難しいことがあります。
極端に痩せている、太っている方は排卵障害が起きやすく、妊娠が難しくなります。
しかし年齢を除けば、多くのケースでは治療や改善ができます。以下の項目に該当する方は、悩まずに婦人科に相談して下さい。不妊治療を始めるか決めるためにも、まずは検査だけでも行いましょう。
35歳以上の女性
どれだけ外見が若々しくても、健康でも、35歳以上の女性は妊娠が難しくなります。その原因は卵子が作られるメカニズムにあります。
卵子の元になる細胞は胎児の時期に一生分作られます。男性の精子は都度造られるのに比べ、女性の卵子は新たに造られることはありません。
卵子の年齢は「女性の年齢プラス1歳(ほぼ満年齢)」で、35歳以上になると正常な細胞分裂が起こりにくくなります。そのため受精卵が育たない、着床しても流産してしまうリスクが上がります。
年齢を重ねると子宮内膜症、子宮筋腫など、妊娠を妨げる病気が重くなるリスクもあります。
月経の異常がある、経血の量が異常
月経は25日~38日周期が正常範囲です。月経周期が不安定、と不安になる方もいますが、差が6日までなら問題ありません。たとえば前回の周期が28日、今回は34日なら正常範囲です。
妊娠していないのに月経が何カ月も来ないことがある、月経の頻度が多すぎる(24日以内)場合は排卵障害が起きている可能性があります。
月経期間は3 〜7日以内、経血量は20~140gが正常範囲です。しかし経血量を正確に測るのは難しいでしょう。
ナプキンの交換頻度が目安になります。ナプキンを当てても数時間以内にあふれてしまう場合は、明らかに量が多すぎます。
寝込んでしまうほど月経痛が強すぎる、月経前のイライラ(PMS)がひどい場合も、妊娠トラブルが隠れていることがあります。これらの症状は子宮筋腫や子宮内膜症の典型的な症状です。
子宮筋腫・子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外の場所にできる症状です。原因は不明で、発症すると妊娠できる可能性が1/10まで減ると言われています。
子宮内膜症があっても軽症なら自然妊娠できることもありますが、一般的に妊娠率が大きく下がります。不妊治療を行う女性の約25~50%は子宮内膜症があります。
子宮内膜症は月経が続く限り消失せず、患部を切除するか一時的に月経を止める処置をして、症状を和らげます。
卵巣に子宮内膜症が発生すると卵巣に経血が溜まり、卵胞を育てることが難しくなります。(チョコレート嚢胞)症状により治療法が変わるため、綿密な計画を立てる必要があります。
子宮筋腫は、子宮の中にコブができる症状です。コブの分だけ子宮内膜の面積が増え、経血が多くなる傾向があります。
子宮筋腫があると着床の邪魔になり、着床が難しくなります。しかし5cmより小さなコブや、子宮の外に飛び出しているコブ(漿膜下筋腫)は妊娠の妨げになりにくいと言われています。
コブを小さくする薬を服用する、手術で取り除くなどの処置を行い、改善を促します。
これらの症状は治療を行わないと、徐々に悪化していきます。
昔は生理痛がなかったのに最近は寝込むほど辛い、経血量がとても増えた場合は、これらの症状が隠れているかもしれません。
性感染症の感染歴がある/骨盤腹膜炎を起こしたことがある
クラミジアなど性感染症に感染すると、卵管閉塞を起こします。
卵管は卵子や精子が通る大事な通路です。卵管が塞がると精子や卵子が通ることができず、自然妊娠することは物理的にできなくなります。
性感染症は治療できるので、陽性になれば必ず完治させましょう。
クラミジア、淋菌に感染すると、子宮頚管や子宮内膜などに炎症を起こします。この炎症が膀胱、卵管、直腸など骨盤の中にある器官を覆う「腹膜」に広がる症状を骨盤腹膜炎と呼びます。卵管閉塞などを引き起こすリスクがある症状です。
意外な原因では腹部の手術の経験があり、手術後に腸閉塞(イレウス)や腹膜炎を起こしたことがある女性です。開腹手術は感染症リスクがあり、骨盤腹膜炎を起こすことがあります。
卵管のトラブルは卵管造影検査という、卵管をレントゲン撮影することで判明します。もし卵管に重大なトラブルがあっても、体外受精で妊娠に臨めます。
たとえ不妊症でも、年齢が若ければ適切な検査と治療で妊娠を目指せます。
年齢が高くても治療回数を増やすことで、ある程度は妊娠率を上げることはできます。
これらの症状がある方はできるだけ早く婦人科を受診しましょう。
参考サイト
日本生殖医学会「Q5.どんな人が不妊症になりやすいのですか?」
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