新型コロナウイルス感染は、妊活にも悪影響を与える可能性

妊活コラム


新型コロナウイルス感染症は100年に一度の疫病禍で、現在も世界中で猛威を振るっています。
現在はワクチンもありますが、オミクロン株に置き換わってからは感染予防効果が下がってしまいました。(重症化予防効果は高いままです)

新型コロナといえば、重い肺炎を引き起こすと思う方が多いでしょう。
高齢者が肺炎で亡くなる伝染病、というイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし実はそれだけではなく、「体内で長期間炎症を引き起こし、さまざまな疾患を引き起こす全身性の病気」であることが分かりました。

もちろん不妊を引き起こすリスクもあります。特に男性のED、精液異常などを起こすことが知られています。

コロナ感染が男性不妊を引き起こす理由①血管の炎症

なぜ新型コロナウイルス感染が男性の性機能に悪影響を与えるのでしょうか。
全容解明はされていませんが、「血管の炎症」「精巣感染」などが主な原因と考えられています。

毛細血管に炎症を起こし、血流が阻害されるため。

新型コロナウイルスは、体内のあちこちで炎症を起こします。
最近問題になっている、回復後も倦怠感など症状が抜けない「コロナ後遺症」の原因と言われている、厄介な症状です。
血管が炎症することが多く、さまざまな問題を引き起こします。

毛細血管の血流阻害は、EDなどの原因になります。
糖尿病になるとEDになるのは有名ですが、これは糖が多い血液が毛細血管にダメージを与え、毛細血管の血流を妨げるためです。
この状態で血糖値管理を放置すると、ますます毛細血管はダメージを受けて血流が悪くなります。
手足の指が腐り落ちるなど深刻な症状が起こるのも、毛細血管に血液が流れにくくなるためです。

蛇足ですが、コロナ感染をきっかけに糖尿病になるリスクが上がります。
糖尿病は男性不妊を引き起こす代表格の病気です。普段から食事を管理して、できるだけ同じ時間に食べる、暴飲暴食は極力避けるなど、出来る範囲で工夫しましょう。



コロナ感染が男性不妊を引き起こす理由②精巣感染

ウイルスが精巣で増殖し、精子造影能力が下がる可能性

新型コロナに感染すると、精巣にウイルスが感染、増殖する事があります。
特に、精子が形成される初期段階の細胞の「精原細胞」、精子になる前の細胞「精細胞」など、さまざまな場所に感染することが分かりました。
「精子のもと」になる細胞が感染するため、無精子症、乏精子症、運動率の低下などが起こります。

具体的には、どれほどのダメージを与えるのでしょうか。
43名と少数ですが、コロナ感染から回復した男性の精液を調べた調査があります。
43名中、精液障害がある方が11名、約25%に何らかの問題が出たことが分かりました。
11名中のうち、8名は無精子症、3名は乏精子症でした。

出典:Semen impairment and occurrence of SARS-CoV-2 virus in semen after recovery from COVID-19. Human Reproduction 2021; 36: 1520–1529

この調査では、感染前の男性の精液異常を調査していないことを考慮しなければなりません。しかし「感染すると25%の男性に、精液トラブルを引き起こす可能性がある」ことは示唆されています。

イタリアでは新型コロナ感染から回復後30日経った患者43名への調査が行われました。
うち無精子症8名、重症度が高い乏精子症(精子濃度200万/mL以下)3名という結果になり、全体では25.6%の方に問題が発生しています。

さらに、症状の重症度によってリスクが上がることが分かりました。
・ICUに入室した重症患者5名のうち、4名が無精子症
・入院した中等症患者26名のうち、3人が無精子症
・入院しなかった軽症患者12名のうち、1人が無精子症

重症を避けることが無精子症リスクを避けられることも示唆されています。

日常生活に支障がない範囲で、最大限の感染対策を

2023年5月に、新型コロナウイルス感染症は感染法上2類から5類に変更されました。
5類はインフルエンザと同じ枠のためか、「コロナ禍は終わった」とばかりにマスクを外して浮かれている人が後を絶ちません。
これは妊活をする上では大きな誤りです。

今こそ最大限の感染対策を行いましょう。
無理のない範囲で、以下のことを実践しましょう。
・人がいる場所では、不織布マスクを隙間なく付ける
・こまめな手洗い、うがい、口腔洗浄
・定期的なワクチン接種(重症化を防ぐ効果があります)
・3密(密集・密閉・密接)を避ける
・換気を徹底する
・マスクを付けていない人とは、できる限り2メートル以上距離を開ける(無症状感染者の可能性があるため。距離を開けることで飛沫を防ぎ、リスクを減らせます)

なかなか日常生活ですべてを実行するのは難しいですが、マスク着用、手洗いの徹底、換気は最低限実行しましょう。
公共機関よりもマイカーで移動するほうが、感染リスクを抑えられます。

そして運悪く感染したら、感染後に必ず精液検査を行いましょう。一時的な無精子症になっているリスクがあるためです。
回復までは個人差があり、数カ月で回復することもあれば、100日以上経っても回復しないケースもあるようです。
出典:Men experience a long-term drop in semen quality after COVID infection – even if the infection was mild

新型コロナウイルスは何度でも感染します。そして感染するたびに後遺症リスクが上がると言われています。
画期的な予防法や治療法が普及するまでは、感染を防ぐ対策を行いましょう。



参考サイト

新型コロナは一過性の男性不妊の原因になるのか 回復後に精子が減少するという海外の報告
PubMed 新型コロナウイルス感染症から回復後の精液障害と精液中のSARS-CoV-2ウイルスの発生
Men experience a long-term drop in semen quality after COVID infection – even if the infection was mild
恵比寿つじクリニック 新型コロナ感染後の妊活再開時期は?

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