2019年の年末から新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、新型コロナウイルスは身近なものになってしまいました。
現在はワクチンの集団接種などが功を奏して、感染しても亡くなるリスクは大きく下がりました。(しかし現在でも年間4万人以上が亡くなっています)
しかしそれに代わり、治療が非常に困難な後遺症で苦しむ人がどんどん増えています。一見すると健康そうに見えても、目に見えにくい形で深刻な後遺症が現れることもあります。
見えにくい後遺症の代表は、易姓感染です。コロナ感染後はほかの感染症にかかりやすくなります。さらに、生殖能力にも悪影響を及ぼすことが分かってきました。
妊活と直接関係ないように見えますが、感染症は赤ちゃんの命を奪うことがあります。麻疹、百日咳、インフルエンザ、ノロなどは、妊娠中に感染すると妊娠に悪影響を及ぼすリスクがあるため注意が必要です。
「感染症禍の中で妊活を続ける」ために必要な知識を知ることは、自分の妊孕性(妊娠する力)を守り、やがて生まれる赤ちゃんを守ることにつながります。
コロナ感染後、男性の精子コンディションが一時的に悪化します
男性がコロナ感染をすると、精子を造る細胞に感染して精子を造る能力が一時的に低下します。
この場合は、おおよそ3ヵ月ほどで造精能力は回復すると言われています。
しかし、重症になった場合はさらに別のトラブルが発生します。コロナ感染で重症化した後は、男性ホルモンのテストステロンの分泌レベルが低下するリスクがあります。
男性はコロナ感染で重症化、死亡しやすい傾向がありますが、その原因の一つがテストステロンと考えられています。価格は高いですが、今後も定期的にコロナワクチンを接種して重症化リスクを下げましょう。
女性がコロナ感染で直接、妊孕性が下がるという大規模な調査結果は、2025年5月現在ではありません。
しかし女性はコロナ後遺症になりやすく、重い倦怠感や筋肉痛で寝たきりになるリスクがあります。ブレインフォグと呼ばれる認知症のような症状が続く、嗅覚や味覚を失い、腐敗した食べ物の見分けがつかなくなるなど、妊活どころでなくなるおそれがあります。
残念ながら、現在のワクチンでは後遺症リスクを大幅に下げることはできません。ある程度は後遺症発生率を下げることはできるため、女性も定期的にワクチン接種をした上で、男性以上に感染対策に気を配りましょう。
新型コロナウイルスに感染後、免疫細胞の働きが低下します
2025年5月現在、百日咳が大流行しています。百日咳は新生児が感染すると死亡することもある危険な感染症で、大人が感染しても数ヶ月間も激しい咳が続きます。
2024年の年末にはインフルエンザやマイコプラズマ感染症が蔓延しました。何故こんなに様々な感染症が広がってしまうのでしょうか。
新型コロナウイルスに感染すると、症状から回復しても免疫機構が低下し、さまざまな感染症に罹りやすくなります。
ウィーン医科大学の研究では、軽症のコロナ感染経験がある方と未感染の方を集計したところ、感染後10カ月経っても免疫細胞のはたらきが回復せず、大きく下がったままでした。
出典:Differential decline of SARS-CoV-2-specific antibody levels, innate and adaptive immune cells, and shift of Th1/inflammatory to Th2 serum cytokine levels long after first COVID-19
Bernhard Kratzer,他
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/all.16210
より具体的に言えば免疫を担う白血球のT細胞やB細胞、NK細胞の数が、未感染者に比べて大きく減ったままでした。
さらにウイルスと戦うために欠かせない抗体の量も減っていることが分かりました。
新型コロナウイルスに感染すると、たとえ軽症でも回復後に免疫が大きく下がってしまうのです。
麻疹にも同様の後遺症がありますが、麻疹はワクチン接種を2回行えば十分な免疫が付く人が大半です。しかし新型コロナウイルス感染症はワクチンを接種しても感染予防効果は限定的です。(重症化予防のはたらきがあります)
できるだけ感染しない対策を、今後も続けましょう。
感染対策は今までと同じ
コロナが5類に分類され、話題にのぼることも減った新型コロナウイルスですが、妊活や妊娠中は特に感染を避けるべきです。無防備に感染して良い病気ではなく、後遺症を治す治療法も現時点ではないためです。
しかし感染対策は今までと変わりません。三密(密集、密接、密閉空間)をできるだけ避け、人が多い空間では不織布マスクを付ける、換気を徹底し、家に帰った石鹸で手を30秒以上洗うことで、感染リスクを大きく下げることができます。
汚れた手で目や口をこすらないようにしましょう。
これはコロナに限らず百日咳やマイコプラズマなど、多くの感染症対策にも有効です。ノロウイルスは消毒アルコールの効果はありませんが、手洗いで洗い流すことができます。
麻疹はマスクの有効性は高くないため、血液検査で麻疹抗体を調べた上で抗体値が低い場合はワクチン接種を行いましょう。
残念ながら一度でもコロナ感染をすると、軽症で済んでも長期間にわたりさまざまな感染症リスクが上がります。季節外れのインフルエンザ蔓延や百日咳の蔓延など感染症禍は、感染対策の放棄に加えてコロナ感染経験者の後遺症が理由の一つと考えられます。
健康な体を維持することが妊活にとって何より重要です。そのためにもできる限り感染対策を続けることが大切です。この習慣はやがて生まれるお子さんを守るためにも欠かせない、大事なものになるでしょう。
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