「妊活中もカフェインは控えたほうが良い?過剰なカフェイン摂取は妊娠しにくくなる確率が上がります」

妊活コラム


「妊娠中はカフェイン摂取を控え目に」という指導がされます。
これはカフェインが胎盤に通過しやすく、赤ちゃんに影響するためです。赤ちゃんはカフェインを代謝する能力が低く、中毒症状を起こしやすいのが原因です。

では妊活中はどうなのでしょうか?
妊娠したら飲めなくなるから今のうちに…とコーヒーをがぶ飲みする方もいますが、妊活という点ではあまりオススメできません。
妊娠中ほど神経質にならなくても良いですが、妊活中も摂取量をある程度制限したほうが授かりやすくなる統計があります。

1日500mg以上のカフェイン摂取は、妊娠しづらくなる傾向が

1日にコーヒーを6杯以上飲む女性は、それ以下の摂取量の女性より妊娠に11%も時間がかかるという統計があります。
1割ほど時間がかかるという計算なので、たとえば10か月で妊娠できる女性なら11ヵ月かかると仮定できます。

出典:Caffeine Intake and Delayed Conception: A European Multicenter Study on Infertility and Subfecundity

調査時期:1991年8月から93年2月まで
調査対象:ヨーロッパ5か国 (デンマーク、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン) から無作為に選ばれた25歳から44歳の女性
人数:3,187人

この数字を重視するか、許容できるかは個人差があるでしょう。避妊したい女性なら気にせず好きなだけ飲めば良いかもしれません。
なお、この調査は自然妊娠するまでの時間です。人工授精や体外受精など、不妊治療を受けた女性の調査ではないことにご留意ください。



カフェインの過剰摂取はAMHの値を下げる可能性

女性は一生に使うぶんの卵子(卵母細胞)を卵巣に貯蓄しています。
この卵子の在庫を調べることができる数値にAMHがあります。
胞状卵胞という過程に成長するときに分泌するホルモン、抗ミュラー管ホルモン(AMH)を調べることで、卵子の在庫量をある程度把握できます。

カフェインを多く摂取するとAMHの値が下がるという統計があります。

出典:卵巣予備軍と医学的・生活習慣要素および母娘の世代間関連性の分析

日本の病院で不妊治療を行う女性4,600人を対象にした調査で、コーヒーを1日1杯飲む女性よりも、1日5杯以上飲む女性の方がAMHは低下していました。
カップ1杯の方の平均AMHは3.266、2杯の方は3.09、3杯は2.531、5杯以上は2.16という結果でした。(単位はng/ml)
コーヒー摂取が多ければ多いほどAMHが下がるのが分かります。

さらに、コーヒーを毎日飲む人1,208人の平均はAMH3.22、飲む習慣がない人1,024人の平均は3.93でした。(単位はng/ml)
量に関わらず、コーヒーを飲む習慣がある女性のほうがAMHの値が低い=卵巣に残る卵子の予備が少ない可能性があることが分かりました。

AMHの値は不妊治療のステップアップの指標にするもので、決して妊娠しやすい、しにくいという意味ではありません。
AMHが低くても、若い方なら卵子が育ちやすいので体外受精を成功しやすい傾向があります。
AMHが高すぎるのも問題で、多嚢胞性卵巣症候群という排卵障害を起こす要因になります。(胞状卵胞に育つ卵子が多すぎるので、AMHが跳ね上がります)

とはいえ、妊活をする上では完全に無視できるものではありません。
卵子の在庫は減る一方で、増えることはありません。限りある卵子の在庫を守る、という意味でも、カフェイン摂取を考えても良いかもしれません。

1日300ml以下を目安に、デカフェ(カフェインレス)も活用する

ヨーロッパの調査では、1日300ml以下の摂取量なら飲まない人と妊娠するまでの期間に大差がないようです。
妊娠中ほど過度に気にする必要はないですが、コーヒーや紅茶は1日2杯程度に留め、あとはデカフェ(カフェインを抜いたコーヒーや紅茶)に切り替えるのも良いかもしれません。

デカフェコーヒーはひどい味のものが多かったので、ネガティブなイメージを持つ方は少なくありません。しかし近年は上質なコーヒー豆で作られたものが増え、豊かな香りや味わいを残すものがあります。
デカフェコーヒーは、コーヒー豆を水で洗いカフェインを除去する方法や、超臨界という特殊な加工を施した二酸化炭素でカフェインを取り除く超臨界技術などがあります。
超臨界技術はコーヒーの風味を保ちやすいと言われ、美味しいデカフェコーヒーの目安になります。

デカフェはカフェインが抜けているのでコーヒー独自のコクが抜け、コーヒーの幻を飲んでいるような気になります。しかし香りや味を楽しむなら支障はありません。
妊娠すればデカフェのお世話になる機会が増えます。今から美味しいデカフェのブランドやメーカーを知っておくと、妊娠中もストレスないコーヒー生活が楽しめます。
コーヒーに限らず、何でも過剰摂取する習慣は控えて、バランスの良い生活を心がけましょう。



参考サイト

掛川レディースクリニック 妊活中のカフェイン
冬城産婦人科医院 妊娠中のカフェイン摂取は大丈夫?
堀口珈琲 コーヒー豆からカフェインを除去する超臨界技術とは? デカフェ工場見学レポート

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