今すぐ麻疹抗体の確認を!妊活、妊娠中に麻疹が起こす悪影響は?

妊活コラム

2024年4月より、新型コロナウイルスに関するすべての助成が終了しました。
アフターコロナで浮かれたい気持ちになりますが、入れ替わるようにインフルエンザなど様々な感染症が蔓延しています。
どの感染症も大きな問題ですが、特に恐ろしいのは「麻疹」の感染です。2024年から麻疹の感染者が急増しています。

妊活中で麻疹は非常に大きなリスクになります。
なぜリスクなのか、どのように対処すべきかをご紹介します。

免疫を失う!?恐ろしい麻疹の症状、後遺症

麻疹(ましん・はしか)は定期的に大流行する感染症です。昔の日本では「命定め」と言われ、子供の命を奪う感染症の代表格でした。
現在は麻疹ワクチンの普及で、ごく最近までは日本で大規模な流行は見られていません。しかし接種率の地域差が激しく、沖縄県など接種率が低い地域や都市部では感染爆発のリスクが非常に高まっています。

抗体を持たない妊婦が麻疹に感染すると、3割の確率で流産、早産を起こします。
妊婦自身の重症化リスクも上がり、肺炎発症リスクが妊娠していない人に比べて2.6倍、死亡率が6.4倍にもなります。

さらに恐ろしいのは後遺症です。麻疹の後遺症で、今まで積み重ねた免疫を失います。(免疫健忘)
今まで副反応に苦しめられながら獲得した新型コロナワクチンの免疫まで失うので、麻疹から回復しても多くの感染症リスクに晒されます。
免疫健忘は徐々に収まりますが、完全に復活するまで5年かかると言われています。

麻疹の症状そのものは重い風邪症状で、多くの人にとってはひどい目に遭った程度で終わるかもしれません。しかし麻疹の恐ろしさは、風邪症状が治ってからです。
新型コロナウイルスも後遺症で寝たきりになるリスクが高い感染症ですが、「後遺症リスク」を考慮して感染対策をすることが妊活に求められます。



「空気感染」する脅威の感染力

麻疹の恐ろしさは、桁違いの感染能力です。麻疹ウイルスが1人の感染者が何人に感染させるか(基本再生産数)という基準で12~18人という、ヒトの感染症の中では最大の感染力を誇ります。
麻疹は空気感染で広がります。新型コロナウイルスやインフルエンザも大気に漂うウイルス付きの水分に乗って感染させるエアロゾル感染を起こしますが、麻疹ウイルスは水分がなくても感染させる能力があります。
体育館の端から端までの距離があっても感染する、感染者が去ってから数時間後に同じ空間に来ただけで感染する、など、とても防ぐのが難しい感染症です。
個人でできる対策はただ一つ、麻疹ワクチンを接種することだけです。幸いなことに、ワクチンの効果は非常に高く、二度接種すると感染リスクを大きく下げることができます。
しかし妊娠中はワクチン接種ができません。必ず妊活中に接種を済ませて、麻疹リスクに備えましょう。

同居家族全員で麻疹抗体の確認と、陰性の場合はワクチン接種を

まずは、あなたと同居家族が麻疹ワクチンを2度接種しているか確認しましょう。母子手帳が残っていれば、記録されているはずです。
母子手帳を紛失した、接種が1回以下の場合は、ただちに医療機関で「麻疹抗体検査」を依頼しましょう。実費になりますが現在の麻疹抗体値が把握できます。検査は血液検査で、数日から1週間ほどで結果が出ます。

不妊治療を行う病院では、初回の検査で必ずご夫婦の麻疹抗体を検査します。
自己流で妊活をしている方は、これを機会に不妊治療に踏み切るのも一つの手段です。

大人の麻疹ワクチン接種はトラベルクリニックで

もし陰性ならただちに麻疹ワクチンを接種しましょう。
しかし現在、麻疹ワクチンは小児優先で、大人にはほとんど回りません。
麻疹ワクチンは製造に時間がかかるため、すぐに増産することができません。無理やり国内で流通する麻疹ワクチンを接種すると、最も必要とされる子供のワクチン確保が難しくなります。

2024年4月現在、すぐに接種したい時は、お近くのトラベルクリニックにご相談ください。
トラベルクリニック(海外渡航する方向けに、滞在国に必要なワクチンを接種する病院)では海外輸入の麻疹ワクチンを提供しています。本来は海外渡航する方のためのワクチンですが、自由診療のため医療圧迫を受けにくく、お金があれば原則接種できます。

トラベルクリニックでは「麻しん風しん流行性耳下腺炎混合(MMR)ワクチン」という三種混合のものがほとんどです。(流行性耳下腺炎=おたふく風邪)
ただし、この輸入ワクチンは国内未承認のため、万が一健康被害が出ても公的な保障制度が受けられません。MMRワクチンはEU圏などで広く使われていますが、その点は了承の上で接種をご検討下さい。
接種希望の方は、必ず電話などで事前に在庫確認をしてからご来院ください。

不妊検査で麻疹抗体陰性が見つかった場合は、病院の指示に従って下さい。病院側で独自にワクチンを準備している可能性があります。



参考サイト

厚生労働省「麻しんについて」

大阪府立母子保健総合医療センター平成13年9月10日 麻疹流行とその対策

国立国際医療研究センター病院 11.未承認ワクチンとは

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