レバーは各種ビタミンや鉄、葉酸など栄養価が高い食品です。
焼き鳥のレバーやレバーパテ、レバニラなど美味しいメニューが多く、妊活に必要な栄養素をたっぷり摂取できます。苦手だけど無理して食べている方もいるかもしれません。
しかし、レバーには一つ、健康に良くない問題があります。ビタミンAの過剰摂取リスクです。
ビタミンAは脂溶性ビタミンという脂肪に溶ける性質があり、一度摂取すると体内にため込んでしまいます。そのため過剰摂取になりやすく、注意が必要です。
レバー好きな方も摂取する回数を守り、安全に美味しく食べたいですね。
ビタミンAの効果と過剰摂取の弊害
「ビタミンAが不足すると、夜に目が見えなくなる」という話を聞いたことがあるでしょうか。
ビタミンAはタンパク質の合成をサポートするビタミンです。皮膚の健康維持や免疫システムの維持、視力、聴覚、生殖機能などを支える大事な栄養素です。
生殖にもかかわるので妊活にも欠かせません。
もしビタミンAが不足すると暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症を発症し、重度の欠乏症に陥ると失明します。深刻な亜鉛不足の合併症を起こすこともあります。
通常の食事を摂取している限り、不足や過剰摂取になることはないと言われています。しかし毎日レバーペーストをたっぷりパンに塗って食べるなど、レバーが多い食生活を続けると過剰摂取のリスクがあります。
ビタミンA不足は栄養失調者が多い貧しい国で見られ、日本でも昭和の時代には肝油ドロップでビタミンAを補給する習慣がありました。
現在でも過剰なダイエットなどでビタミンA不足に陥ることがあります。もし摂食障害があれば早急に医療機関に相談しましょう。
ビタミンAの過剰摂取を続けると骨粗しょう症リスクが上がり、脱毛、皮膚がボロボロになる、脳圧が上がることで発生する頭痛、筋力低下、食欲不振などが起こります。
さらに妊娠中(特に妊娠初期)にビタミンAを過剰摂取すると、胎児の耳が形態異常を起こすなど催奇形性のリスクがあります。
特に気を付けたい食品はレバーです。動物は肝臓にビタミンAを貯め込む性質があり、レバーにはビタミンAが濃縮されています。ビタミンAは魚、卵黄、乳製品にも含まれますが、レバーに比べると桁違いに少ないのが特徴です。
なお、ニンジンなど植物に含まれるβカロテンは、ビタミンAの前駆体(ビタミンAになる一つ前の状態)です。身体に必要な分だけビタミンAに転換されるため、たくさん食べても害はありません。ニンジンはビタミンCや食物繊維も豊富で、積極的に食べたい野菜です。妊活中も妊娠中も、安心して召し上がって下さい。
レバーは程々に!1日の摂取量を守りましょう
英国の栄養指導では、妊活中の女性、妊娠中の女性はレバー、レバー製品摂取を止め、ビタミンAを含むサプリメントの摂取を禁止することを明記しています。
日本ではここまで厳しい指導は行いませんが、日常的にレバーペーストなどを食べる機会が多いイギリスならではの指導です。
大人の女性の必要摂取量は700 µg RAEです。安全な上限値は3,000 µgですが、できれば必要摂取量に近い量を意識しましょう。
ビタミンAが厄介なのは、過剰摂取になりやすい点です。身体で消費されるまで体内に留まるため、過剰摂取すると悪影響が出やすいところです。
レバーも動物によりビタミンA含有量が異なります。いちばん多いのは鶏レバーで、100gあたり14,000µgも含まれています。次に多いのは豚レバーで、100gあたり13,000µg含まれています。
鶏のレバー串1本が可食部30gと仮定しても、4,200µgもビタミンAが含まれる計算になります。もしレバー串を食べたいときは1本に抑え、1週間ほどレバーを控えると良いでしょう。
豚レバーはレバニラ炒めでよく使われます。もしレバニラを自作するなら豚レバーでなく、牛レバーを使えばビタミンAを大幅に抑えることができます。
牛レバーは100gあたりビタミンAが1,100µgしか含まれていません。豚レバーの10分の1以下なので、比較的安全に摂取できます。それでも60gほどで必要摂取量に
レバーを食べると、どうしてもビタミンAは過剰摂取になりがちです。
レバーパテなど加工品は牛レバーを使ったものを使う、レバー(特に豚、鶏)はごく少量を週に一度程度に留めましょう。
リスクもあるレバーですが、毎日食べなければ特に問題はありません。食べてはいけない、ではなく「食べる頻度、量を調整して、うまく付き合う」ことを意識するほうが良いでしょう。
レバーには鉄分、葉酸など、妊活に欠かせない栄養素が豊富です。量と食べる頻度さえ気を付ければ、とても役立つ食品です。
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