今ではすっかりお馴染みの「ふるさと納税」。お米や食品をふるさと納税でまかなう方もいるほど人気です。
ふるさと納税は所得に応じて限度額があり、高額納税者ほど額が大きくなります。
しかも5自治体までは「ワンストップ特例制度」という、税務署に申請しなくても自動で手続きできる対象になるので、通販感覚で気軽に行えます。
ただし、不妊治療など医療機関での出費が多く(10万円以上)、医療費控除を受ける予定の方は注意が必要です。うっかりふるさと納税をやりすぎて、本当の寄付になるリスクがあるからです。
医療費控除を使うと、以下の問題が発生します。(「住宅ローン控除」も同様の問題が発生します)
・ワンストップ特例制度が使えない(=自力で税務署に自己申告する)
・ふるさと納税の限度額が下がる
なぜ、このような問題が起こるのでしょうか。
どちらも「所得税」から控除されます
最大の理由は、ふるさと納税も、医療費控除も「所得税」(と住民税)から控除されるところです。
ふるさと納税は寄付なので、寄付金控除になります。
そのため、ふるさと納税(寄付金控除)が、医療費控除
夫婦共働きで、配偶者特別控除を受けていない世帯で説明します。
・世帯主が年収650万円
・持ち家がなく住宅ローン控除を受けていない
・不妊治療、その他医療費で1月から12月まで100万円支払った
だと仮定します。
この場合は、ふるさと納税ができる上限額(目安額)は約147,000円になります。
もし、上記と同じ条件で医療費が10万円以下の場合、ふるさと納税の上限額(目安額)は176,000円になります。
※金額は目安です。諸々の条件で上限額が変わります。
詳しい計算は以下のサイトなどで行えます。あくまで目安ですが、源泉徴収票と医療費の領収書の合計額(概算でも可)を揃えて計算して下さい。
楽天ふるさと納税 詳細版シミュレーター(2024年分)
https://furusato-nouzei.event.rakuten.co.jp/mypage/deduction-details/
治療計画とおおよその予算を、あらかじめ把握しましょう
ふるさと納税を行いたい場合は特に、医療費の金額は大きく左右されます。
ふるさと納税の上限額をはっきり定めたい時は、あらかじめ1年に必要な不妊治療の金額を決めてしまうのも一つの選択です。
気を付けたいのは、突然の病気などで予想外の医療費がかさむこがもあります。医療費の概算は多めに設定して、あらかじめシミュレーターで計算することをおすすめします。
体外受精など高度不妊治療は保険適用されましたが、受精しやすい環境や受精卵が育ちやすい環境を整える、妊娠率を上げるなどのオプションは原則、自費治療です。
オプションを取捨選択なしで取り入れると莫大な額に膨れ上がるのが不妊治療の落とし穴。あれもこれもと手を出すと1回の体外受精で100万円を超えることがあります。
これならオプションが限られていた時代の自費診療のほうが安く抑えられていた、という逆転現象が発生しているのが現状です。
費用が限られている方は保険適用範囲か、ごく限られたオプションに留めるべきでしょう。
メリット、デメリットを納得した上でオプションを問題ないですが、予算にそれほど余裕がないご家庭は、金銭的にはっきり区切りをつける必要があります。
シート療法(SEET)など、科学的統計に基づいて妊娠率が向上すると実証されているオプションは、前向きに検討する価値があると思います。
一方で、新しい技術でまだ大規模な統計が取れないオプションは、よく考える必要があるでしょう。新しいから、高額だから効果があるとは限らないのが医療分野です。
医療費控除が高額、住宅ローン控除が大きい年は、ふるさと納税を控えることも検討を
ふるさと納税の概算シミュレーターはありますが、正確な控除計算はかなり面倒です。
医療費がかさんだ年や住宅ローン控除が大きな年は、思い切ってふるさと納税を控えるのも一つの手段です。
計算をミスすると、ふるさと納税が「本物の寄付」になりかねません。
過度にふるさと納税を続けると、自分が住む自治体へ十分な所得税が回らず、自分の住む町のインフラがどんどん劣化することに繋がります。
ふるさと納税という制度がある以上、積極的に活用するのは良いですが、結果的に自分の生活に跳ね返ってくるリスクがあります。それでもふるさと納税をやりたい時は、上限額の概算から数万円ほど余裕をもって行うことをおすすめします。
ふるさと納税と高額医療費控除を受ける場合は、確定申告を行いましょう。
マイナンバーカードとスマホがあれば自宅からでも申請できるので、国税庁(https://www.nta.go.jp/index.htm)のマニュアルを参考に行いましょう。
マイナンバーカードがない場合は、平日に税務署に行く必要があります。必要な資料を揃え、できれば事前に確定申告書を記入してから税務署に行きましょう。
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