漢方薬は「お湯に溶かして飲む」のが本来の飲み方?「おいしく」飲むために

妊活コラム

「漢方薬は、おいしい」
と聞くと耳を疑うかもしれません。
「良薬は口に苦し」ということわざがありますが、(本当に苦い風味の漢方薬もあります)実は、漢方薬は体に合えば不思議と美味しく感じられるものです。
漢方薬が身体の調子や体質に合うことを「証が合う」と言います。美味しく漢方薬を飲めるなら、その薬は体に合っていると考えられます。逆に、飲みづらい、おいしく感じられない時は証が合わない可能性があります。

漢方薬は「お湯に溶かして飲む」と飲みやすい?

現在の漢方薬はエキス顆粒という、特殊な加工を施した粉状で流通することが主流です。
特に病院で処方される漢方薬は、ほぼエキス顆粒と言っても過言ではありません。
(一部には錠剤、丸薬など個体のものがあります)

本来、漢方薬は生薬(漢方薬の原料)を麦茶のように煮出して飲むものです。
煮出すのに20~30分かかり、煮出す匂いが強いため、漢方を極めたい方や生薬を微調整したい方でなければ手が出しにくい、敷居の高いものでした。
そのため、生薬を薬品工場の大鍋で煮出し、乾燥させてエキス顆粒にしたものが広く流通しています。効果は生薬から煮出しても、エキス顆粒でも変わりません。

そのため、「漢方薬をお湯に溶かして飲む」のは、漢方薬本来の飲み方に近い飲み方です。
お湯に溶かすと独特の癖のある匂いがするので、全く美味しそうに見えないと思いますが、漢方薬が飲みにくい方にぜひおすすめしたい飲み方です。
普段から漢方薬を飲んでいる方でも、溶かして飲むとお茶のようにホッとするひと時が楽しめるでしょう。
青汁のように「美味しくはないけど、身体が求めている健康的なもの」と感じるなら、その漢方薬が合っている証拠です。「美味しく服用できる」のは、漢方薬の隠れた利点と言っても良いでしょう。

漢方薬は甘草という生薬が入っているものが多く、甘味がするものが多い傾向があります。(五苓散など、甘草が入っていない漢方もあります)
成分表に甘草があるなら、溶かして飲んでも甘味ベースの味になります。甘味の強さは漢方薬によって異なりますが、基本的に「ほんのり甘い」風味がします。

余談になりますが、甘草は副作用に注意しなければいけません。
甘草は多くの漢方薬に含まれ、甘味料でも使われることが多い生薬ですが、過度に摂取すると偽アルドステロン症という病気を引き起こすことがあります。
むくみ、手足のしびれ、力が入らない、などの症状が出たら、ただちに服薬を中止して医師に相談して下さい。無理して服用を続けると症状がどんどん悪化し、重症化することがある危険な症状です。



溶かして飲むときは、ティースプーンでかき混ぜながら

漢方薬のエキス顆粒は、お湯には完全に溶け切らず粉状の不純物が残ります。
この不純物も漢方薬の成分なので、出来ればこれも残さず飲みたいものです。
ティースプーンでかき混ぜながら飲むと、程よく不純物と溶けだしたエキスを同時に摂取できるので、比較的飲みやすいです。
もしかき混ぜずに飲むと最後に不純物の粉だけが残り、飲み込むのが難しくなります。お湯を足して飲めば解決しますが、喉に引っかかって不快感が出ることもあります。
できるだけ漢方薬を溶かすときは150~200cc前後の熱湯で溶かし、かき混ぜながら飲むことをおすすめします。
湯の量は特に決まりはありません、美味しいと感じる程度に調整して下さい。

どうしても抵抗があるときは、オブラートに包む手段も

エキス顆粒が飲みにくい、溶かして飲むのも匂いや味に抵抗がある、という方は、オブラートに包んで飲む方法もあります。
漢方薬の原料、生薬はセリ科植物が多いので、セリが苦手な方は匂いだけでも抵抗感が強いかもしれません。セリが苦手な方は無理をしてお湯で溶かさず、オブラートに包むほうが無難です。

オブラートはでんぷんが主原料の薄いシートで、餃子の皮のような丸いシート状のものと、袋状のものがあります。
包み方は自由ですが、4つ折りにして袋状にして、中に漢方薬を入れてひねって閉じます。
そのままコップに入れた水に浸し、すぐ口に入れて水で飲み込むとツルンと飲み込めます。
コツが必要なので、使うのが不安な方は、服薬ゼリーに包むと安心です。

本来漢方薬は、身体に合えば「美味しい」と感じるものです。
匂いが苦手でどうしようもない場合は別ですが、オブラートを使わないといけないほど口に合わない漢方は、自分に合っていない可能性があります。
その時は医師に相談して、別の種類の漢方薬を出してもらうのも一つの手段です。

体質、体調は季節や治療過程によってどんどん変わります。
特に、体調が改善した時と季節の変わり目には、いつもは美味しく感じられた漢方薬がまずく感じる、胃もたれがすることがあります。
「こんなものか」と無理して飲まずに、他の漢方薬にする、体調が大幅に向上したなら減薬する、止めるのも良いかもしれません。



参考サイト

足立外科胃腸内科医院 漢方薬の飲み方〜美味しく内服するには〜
窪田薬局 漢方が苦手な方にオススメの飲み方
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症

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