ホルムズ海峡封鎖が不妊治療に影響する?原油不足による医療問題と対策

妊活コラム

2026年3月にイランがホルムズ海峡を事実上封鎖し、約1ヶ月が経ちました。
日本が輸入する原油の大半が中東産のため、今後の暮らしに影響が出るのではと懸念されています。

ホルムズ海峡の封鎖によって原油の供給が滞ると、医療にも影響が波及する可能性があります。不妊治療は一見エネルギーとは無関係に思われますが、原油はエネルギーだけでなくさまざまな副産物の原料になります。医薬品や医療器具、通院など、予想外のところに影響が出るかもしれません。

2026年4月現在、日本に必要な原油の6割は購入できるように調整されています。少なくとも現時点では、日本の文明が崩壊するような事態には陥らないと考えられます。しかし、全く影響が出ないわけではありません。
連日の報道で治療継続に不安を感じている方もいるかもしれません。特に体外受精など計画的に進める治療では、より不安が増すかもしれません。ここでは、不妊治療に影響する可能性がある原油不足のリスクについて解説します。

■概要
ホルムズ海峡の封鎖により原油供給が不安定となり、日本でも医療資材や物流への影響が懸念されています。不妊治療は直接エネルギーと関係しないように見えますが、注射器や点滴パックなど多くの医療資材が原油由来のため、価格高騰や供給不足が起こる可能性があります。長期化すれば新規患者の受け入れ制限や通院手段の制約も生じ得ます。治療を検討中の方は早めの検査や、公共交通で通える医療機関の選択、予算計画の見直しが安心につながります。


治療費の価格高騰

不妊治療は原則、保険診療ですが自費の項目も多い治療です。特に体外受精など高度不妊治療は自費のオプションが多く、高額になりがちです。
自費診療は病院ごとに自由に設定できるため、物資不足や資材費高騰などが続けば値上がりやすくなります。
ただでさえ人件費の高騰が続いている中で、深刻な資材不足が続くと治療費の高騰はさらに加速すると考えられます。

原油を精製するとさまざまな物質が分離されます。その一つ「ナフサ」は石油化学製品の基礎原料で、エチレンなどプラスチック製品の原料になります。ナフサは医療分野では注射器のシリンジ、点滴パックなど、必要不可欠な道具の原料になります。衛生に欠かせない洗剤やメチルアルコール、ゴム手袋の原料になる合成ゴムも原油が原料です。
幸い、日本は現在のところアメリカやペルーなどから、ある程度の量のナフサは確保しています。しかし購入コストが上がるため、資材価格の上昇は避けられません。

医療制限が起こる可能性

もしナフサが不足すると注射器のシリンジなど基礎的な医療資材が供給不足になり、血液検査や予防接種すら難しくなるかもしれません。
ディーゼル燃料などが不足すると、資材を運ぶトラック輸送が制限され、調達が難しくなる可能性もあります。
現時点ですぐに起こるとは考えにくいものの、原油不足が年単位で続く場合は薬や資材不足で新規患者の受け入れ制限や停止の可能性も考えられます。

医療資源が極度に不足すると、緊急性が高い救急や、重症度が高い人工透析・がん治療、小児の治療などに集中するでしょう。不妊治療を停止しても、ただちに母体の命が危機にさらされるわけではないため、不妊治療を行う専門機関は資材が後回しにされるおそれがあります。

流通、交通の制限やトラブルが増える可能性も

ガソリンや重油の入手が難しくなり、今後はトラックや船の運航に支障が出る可能性もあります。
一部の医薬品は海外から輸入しますし、医薬品の原料は海外からの輸入に頼っています。これらが日本に届きにくくなる、届いても医療機関まで届きにくい、というドミノ倒しのように影響が連鎖するリスクは、今後増えていくかもしれません。

ガソリン不足により、通院したくても自宅の車を使いにくくなるかもしれません。公共交通機関もバスの大半はディーゼル燃料なので、(電動車両を除いて)運航が制限されるおそれがあります。

原油=エネルギーと考えがちですが、2024年時点では火力発電は67.5%に抑えられています。このうち石油は34.8%まで下がっているので、電力不足で大変なことになるリスクは下がっています。原油不足の問題は、交通機関の燃料不足と資材不足の2つに集約されるでしょう。

ご家族とよく話し合い、なるべく早めに受診を

まだ不妊治療を始めようか迷っている方は、ご家族としっかり話し合った上で検査だけでも早めに受けた方が良いかもしれません。
医療機関に医療記録があれば、たとえ患者の制限があっても治療を受け入れてもらえる可能性が上がります。
地方の方は難しいかもしれませんが、できるだけ公共交通機関で通える医療機関を選ぶと、いざという時も治療が継続できる可能性が上がります。

どれほどの影響が出るかは未知数ですが、楽観的な予想でも医療費の高騰は避けられないと考えられます。特に自由診療を併用する場合は、予算を超える可能性があります。
予算は少し余裕を持って準備し、改めて見直しておくと安心です。
不妊治療は「タイミング」が結果に影響しやすい治療です。社会情勢が不安定な時期は様子見をしたくなりますが、状況が落ち着くまで待つことが良い選択になるとは限りません。
前回のオイルショックは1973年から77年まで続きました。今回も数年は混乱が続くかもしれません。
まだ治療を始めていない方は、まずは検査だけ検討してもよいでしょう。



参考サイト

経済産業省資源エネルギー庁 日本のエネルギー

SANIPAK ナフサとは?

医療機関マーケティングディレクター H.R

医療機関マーケティングディレクター H.R

本業では医療機関のマーケティングディレクターとして、複数の医療機関のWebサイト制作および広告運用、Web戦略設計・改善を担当しています。 『みんなの妊活』では、本業で培った医療機関Webマーケティングの知見をもとに、妊活に関する正確で分かりやすい情報をお届けできるよう努めています。マーケティングディレクター歴:12年 担当医療機関数:5施設 得意領域:Web戦略設計、サイト改善(UI/UX)、SEO対策、アクセス解析、広告運用、コーディング

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本業では医療機関のマーケティングディレクターとして、複数の医療機関のWebサイト制作および広告運用、Web戦略設計・改善を担当しています。『みんなの妊活』では、本業で培った医療機関Webマーケティングの知見をもとに、妊活に関する正確で分かりやすい情報をお届けできるよう努めています。

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