冬の妊活は「温活」と「ビタミンD対策」の2つに注力しましょう。
最近、手足の冷えが気になる、なんとなく体調が優れないなど、スッキリしない体調が続いているかもしれません。気落ちして、なかなか前向きになれない精神状態になっているかもしれません。それは自分が悪いのではなく冬の寒さに体が慣れていない可能性があります。
冷えだけで妊娠しにくくなるわけではありませんが、冷えを放置すると血流悪化や自律神経の不調に陥りやすく、間接的に悪影響を与える可能性があります。しっかり保温をしてバランスの良い生活を整えましょう。
12月は冬至(2025年は12月21日)の時期で、1年で最も昼が短くなります。
日光に当たらないと体内で十分な量のビタミンDが生成できなくなります。日光を過度に浴びると肌にダメージを与えますが、太陽光が弱くなるこれからの季節は「日焼けしない程度に日光浴をする」習慣を付けましょう。
一方、関西以南は晴天が続き、昼間は汗ばむ陽気になることもあります。汗で肌着が濡れない程度に保温する必要があります。
保温ウェアはウールでもアクリルでもOK、温かい素材でしっかり温活を
冬は温活しやすい季節です。胴体と3つの首(首、手首、足首)をアンダーウェアで保温するだけでも冷えを防げます。
首はタートルネックのシャツやストールなどで覆い、腹巻、レッグウォーマーを着けると良いでしょう。手首は長袖で保温します。
保温ウェアの素材は何でも良いのも冬の利点です。ウール素材は特に保温性が高く、冬におすすめの素材です。肌に刺激にならなければ、安価なアクリルでも構いません。
ただ、気を付けたいのは保温のやりすぎで汗をかくことです。室外は極寒でも室内は温かいことが多く、どんどん汗をかいてしまうことがあります。
雪かきなどで屋外作業をする際も汗だくになり、放置すると身体を冷やしてしまいます。
汗で保温ウェアがベッタリ濡れるまで放置しない、汗を適度に吸って放出するシルク素材にするなど、工夫が必要です。
食事では根菜やスープなど、体を内側から温める食材を積極的に取り入れると良いでしょう。苦手でなければ生姜、ねぎをたっぷり入れて軽く加熱すると、さらに温まります。簡単に作れる鍋やセイロ蒸しもおすすめです。
寒くてつい部屋にこもりがちになりますが、軽めの運動続けましょう。室内でもできるストレッチやヨガは血流を促し、冷えやむくみ対策にも役立ちます。
特にデスクワークの人はひざ掛けを使って下半身を保温し、30~60分に1回は立ち上がって体を動かしましょう。静脈の血液は筋肉の収縮がなければ流れにくい血流です。適度に身体、特に足を動かすことで、血の巡りが良くなります。
雪が積もりにくい地域の方は、晴れた日はぜひ外で身体を動かしましょう。
冬はビタミンD不足に要注意!日光浴も意識して
冬になると意識したいのが「ビタミンD不足対策」です。ビタミンDは日光(紫外線)を浴びると皮膚で合成されます。しかし冬は日照時間が短く、紫外線量も少なくなるため生成量が減ってしまいます。近年では過度な紫外線対策で、季節を問わず慢性的にビタミンD不足に陥っているという報告もあります。
できれば、毎日「直射日光を」15分ほど浴びましょう。冬は皮膚の露出が減りますが、手や顔など一部だけ日光に当たるだけでもビタミンDは生成されます。
気を付けたいのは、効果があるのは直射日光だけです。ガラス越しの日光は紫外線を遮断してしまい、ほとんど効果がありません。仕事などで毎日外を歩く方は問題ないですが、車通勤やリモートワークの方はできるだけベランダや庭など「外に出る」習慣をつけましょう。
ビタミンDはカルシウム吸収を促し骨を丈夫にする働きや免疫を支えるビタミンですが、妊娠と妊娠中の健康に関わるという報告もあります。
妊活でビタミンDは卵胞の発育や子宮内膜の環境づくりに関わると考えられています。
しかし、紫外線の弱い冬はビタミンDが生成しにくくなります。特に高緯度の地域は、より長い間日光を浴びないと十分に生成できません。
快晴日の12月正午に両手と顔を日光に晒すと、1日に必要なビタミンD(5.5μg)は何分で生成できるのでしょうか。
・沖縄県(那覇市) 8分
・茨城県(つくば市) 22分
・北海道(札幌市) 76分
北海道と沖縄では9.5倍も格差があります。茨城県と比べても約3.5倍の時間がかかります。
日本海側や沖縄の冬は雪や曇りの日が多いため、さらに生成時間がかかります。
そのため、冬は日光浴だけに頼らず、食事で補うことを優先しましょう。
鮭、サンマ、サバ、イワシ、しらすなどの魚、きのこ、卵はビタミンDを豊富に含む食材です。
鮭は標準的な一切れ80gで25.6μgもビタミンDが含まれています。イワシの丸干しなら1尾30gで15μg摂取できます。調理が面倒な方は、しらす干し(大匙2杯で6.1μg)で手軽に摂取しましょう。
サプリメントで摂取する場合は過剰摂取を避けるため、必ず事前に医師と相談してから判断しましょう。ビタミンDは食事からでも十分に摂取できます。
Ko ら(2022) の IVF 研究では、香港の調査でビタミンD不足は IVF 成績に悪影響を与える可能性があると結論付けました。一方で、はっきりとした差が見られなかったと結論付ける報告も多数あります。
参考サイト
国立環境研究所 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
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