「適度な運動」ってどれくらい?週に150分程度がおすすめです。

妊活コラム

よく健診などで「適正な運動を心がけましょう」と言われますが、具体的にはどの程度の運動が適正なのでしょうか。
現在のところ「週に150分程度の運動」というのが適正の基準です。

日本産婦人科学会では、週に5時間以上の穏やかな運動をする女性は、週に1時間以下の女性に比べ妊娠率が高いという報告があります。
(「穏やかな運動」の内容は記載されていませんが、ウォーキングなど軽い運動を差すと推測されます)
いきなり週に5時間は難しいので、まずは週に150分(2時間半)を目指しましょう。

週に150分の有酸素運動、または75分のハードな運動を

「週に150分程度の運動」が適正という基準は、世界保健機関(WHO)の推奨に基づいています。(厚生労働省も同様の方針を取っています)
より正確には「中程度の身体活動(運動など体を動かすこと)を150分、または強程度の身体活動を75分」が、適正な運動量と規定しています。
この程度に運動をすれば健康を維持し、生活習慣病を予防するための目安となります。

妊娠、出産は健康でなければ成り立ちません。持病があっても妊娠、出産が可能なケースはありますが、母子ともにダメージを受けるリスクが上がります。
適度な運動習慣は糖尿病など生活習慣病、PCOSなど排卵障害リスクを下げ、健康に近づきます。たとえこれらの持病があっても、適度な運動と適正体重までダイエットすることで、症状を緩和することもあります。
適度な運動で筋肉が収縮すると、血流を流す効果もあります。無理のない範囲で身体を動かす習慣を付けましょう。

こまめな運動を重ねて150分に近づける

150分は時間換算すると2時間半。
1日に2時間半も続けて運動ができるほど体力がある方なら、むしろ運動のやりすぎで副作用が出かねません。週に5時間以上激しい運動を続けている女性は、そうでない女性より妊娠率が下がると言われています。

・軽めのジョギング
・ヨガ
・ウォーキング
・ゆっくり自転車を漕ぐ

などの運動が「軽い運動」の代表格です。
ジョギングや自転車は、スピードによって強度が大きく変わります。ハードに行きたいとき、のんびり動きたい、のどちらにも対応できます。

150分という時間を、一度にまとめて行わなくても問題ありません。
例えば1日30分を5日に分けるなど、自分の生活スタイルに合わせて調整しても効果があると言われています。1日15分を2回繰り返す、という形でも構いません。
会社の昼休みと夕方休憩に身体を動かす、朝晩の通勤路でジョギングする、など、スキマ時間を見つけて運動してみましょう。事故に巻き込まれにくい環境なら、自転車通勤に替えても効果的です。

運動する時間はいつでも構いません。朝から運動できるのが理想ですが、昼でも夜でも時間がある時に動かせば問題ありません。
ただ、寝る前にハードな運動をすると交感神経が優位になり寝付けなくなります。夜の運動はヨガなど副交感神経を優位にするメニューがおすすめです。



程よい有酸素運動~ハードな運動が適正

具体的な運動の内容としては、軽いジョギングや早歩きといった有酸素運動が推奨されています。エレベーターを使わず階段を徒歩で上り下りする、速足で移動するなど、日常生活を意識するだけでも変わります。

強度が高い運動を行う場合は、週に75分程度でも適正とされています。
運動強度はいくつか指標がありますが、大雑把に言えば「心臓がバクバク激しく鼓動する」くらいの激しい運動が強度の高い運動(身体活動)と考えて下さい。

・スピードを上げたランニング
・水泳
・エアロビクス
・自転車を全力で漕ぐ
・急こう配の登山、急坂を登る

などが運動強度の高い活動の代表です。

しかし、これらの運動は身体負荷が高すぎるので、運動初心者にはおすすめしません。
大切なのは楽しいと感じられる、自分の体調や体力に合った運動を無理なく続けることです。適度な運動を習慣化し、健康的な生活を目指しましょう。

具体的な例を挙げると、自宅でエアロバイクを1日30分漕ぐことは運動と他作業を同時にできる、時間に無駄が少ない運動です。
エアロバイクの中にはテーブルやスマホを置く台がある機種があります。ペダルを漕ぎながらパソコンやスマホを操作して、遊びや仕事をすることができます。
ただし、スマホに夢中になりすぎるとペダルを漕ぐペースが落ちて、運動効率が落ちます。
ペダルを重くするか、一定の速度を維持できるようにエアロバイクの表示画面を確認しましょう。

繰り返しになりますが、「適正な」運動時間を守り、楽しく汗をかきましょう。
運動も過剰に続けると健康を損ねます。週に5時間以上の激しい運動は、逆に妊娠力(妊孕力)を下げてしまうリスクがあります。
アスリートなど特別な事情がある方はコーチと相談して、科学的・適正な運動負荷を計算してもらいましょう。



参考サイト

日本産婦人科医会 不妊治療前に気を付けておくこと

日本WHO協会 運動不足により病気のリスクがある成人は約 18 億人

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