妊活中は授かろうと努力しますが、その努力が間違えた方向に走っていることは珍しくありません。
本人たちは「妊活している」つもりでも、効果が薄いことがあります。やりがちなNG行動を知って、無理のない範囲で対策しましょう。
タイミングの数が少ないのはNG。性交は妊娠サポートの働きもあります
妊活中によくあるNG行動は「(タイミング療法の場合)タイミングの数が少ない」こと。
理論上は排卵直前にタイミングを取れば妊娠するはずですが、実際はなかなか授からないことがあります。
不妊治療を行う医師は「タイミングは複数回取りましょう」と指導することは珍しくありません。
女性が妊娠しやすい時期は、「排卵5日前~排卵日」の間です。
精子は体内で最大7日ほど生存できるので、早めにタイミングを取っても妊娠する可能性はあります。
しかし、精子が子宮や卵管にたどり着くのは大変な冒険の旅になります。この時点で大半の精子が脱落するので、複数回タイミングを取ると卵管まで残れる精子の数が増え、妊娠しやすくなると考えられています。
なかなか大変ですが、可能な範囲で「妊娠しやすい時期に3回タイミングを取る」ことを目標にしましょう。
しかし、決して無理強いしてはいけません。タイミングを取れ、というのは、特に男性にとっては大きな負担になるからです。
パートナーに無理強いすると「タイミングED」になりかねません。女性が考えるよりもずっと、男性は繊細です。無理強いにならないように、伝え方を工夫しましょう。
体外受精でも、移植のタイミングで性交すると妊娠率が上がる?
体外受精、顕微授精など、高度不妊治療を行うなら性交はいらないと考えがちです。
たしかに理論上はその通りですが、実は移植するタイミングで性交を行うと妊娠継続率が上がるという論文があります。
(以下の数値は、無作為に抽出したデータをもとに統計を取ったものです。)
IVF(顕微授精)を行った1,343個の受精卵のうち、禁欲をしたカップルの場合、妊娠成立から6~8週まで生存した子は107ケースありました。
移植前に性交をしたカップルの場合、妊娠成立の割合は禁欲カップルとほぼ同じでしたが、6~8週まで生存した子は125ケースに上ります。
ただし、着床する時期に性交を行うと、妊娠率がわずかに下がるという統計もあります。精子は子宮収縮を起こすため、着床を妨げるという説があります。
性交には感染症リスクもあり、もし性感染症に感染すると妊娠率が低下します。そのため定期的な性病検査は必ず行いましょう。
詳細は担当の医師と相談の上で判断して下さい。
出典:生殖補助医療における性交が妊娠率に及ぼす影響
The effect of intercourse on pregnancy rates during assisted human reproduction | Human Reproduction | Oxford Academic (oup.com)
喫煙は絶対NG!今日から止めましょう
妊活最大のNG行為は喫煙です。
他は無理のない範囲で対策でも良いですが、喫煙だけは無理をしてでも止めるべきNG行為です。
喫煙は精神を落ち着ける作用がありますが、妊活には百害あって一利なし。
ニコチンの覚醒作用は血管を縮め、卵子や子宮内膜の生育を邪魔します。
妊娠できても流産や早産リスクが高まり、低体重児のリスクを上げてしまいます。
さらに喫煙の受動喫煙は、赤ちゃんの突然死(SIDS・乳幼児突然死症候群)のリスクを上げることが知られています。
子供を授かりたいなら、子供の健やかな成長を願うなら、今日から禁煙しましょう。
禁煙外来に通えば、禁断症状をコントロールしながら無理せず禁煙できます。
肥満、冷え…その他のNG行為は?
女性が特に気を付けたいNG行為は、「冷え」と「(医学的な意味の)肥満」。
冷えは意外と自覚がしにくい症状です。
妊活ストレスでついヤケ食いしたくなることがありますが、体重は平均的(BMI19~22前後)をキープするように心がけましょう。
肥満は男性にとっても妊活NG要素です。
「冷え」は夏場こそ気を付けて
冷えは女性の大敵と言いますが、妊活にとっても良くありません。
足首を握ってヒヤッと冷たいなら要注意。
出来れば夏場でも薄いレッグウォーマーを履いて、足首を保護しましょう。
夏場でどれだけ暑くても、冷たいものやコーヒーばかり飲むのは良くありません。熱中症にならない程度に
以外かもしれませんが、コーヒーはホットでも身体を冷やす力があります。
強いカフェインは血管を縮める作用があり、血行を悪くしてしまうからです。そのおかげで体内からの熱を抑えることができますが、飲みすぎると冷えが悪化するおそれがあります。
コーヒーはホットでも、ほどほどの量を心がけましょう。
毎晩きちんと湯船に浸かるのも、冷え解消に効果的です
医学的な肥満は、排卵障害やEDリスクを上げる
女性の痩せすぎはNGですが、太りすぎも妊活には良くありません。
BMIが25以上になると卵巣機能不全リスクが上がり、排卵障害を起こすことがあります。
男性の肥満もBMI30を超えると不妊リスクが上がります。Ⅱ型糖尿病になり、EDや射精トラブルを起こすことがあるからです。
バランスの良い食事と、程よい運動を取り入れて、適正体重の維持を心がけましょう。ドカ食いした翌日は野菜とタンパク質を中心にした食生活にして、うまく帳尻を合わせましょう。
参考サイト
女性医療クリニックLUNA 「いつからいつまで何回セックスするの??妊活入門 妊活、てなにすればいーの??⑤正しいタイミングの取り方」
津田沼IVFクリニック 胚移植前後の夫婦生活
弘前市市役所 子どもの前で吸わないで!
ベネッセたまひよ 知らずにやっているかも? 妊活中に「やっていいこと・ダメなこと」&「うそ・本当」
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