男性も無理のない範囲で始めよう!男性不妊の原因と改善法

妊活コラム


不妊の原因は女性に押し付けられがちですが、男性が原因であることは珍しくありません。ある不妊治療専門病院の調査では、不妊原因の48%は男性側にもあることが分かっています。
男性不妊は治療が難しい原因もありますが、健康な男性でもちょっとしたトラブルで一時的に不妊に近づくことがあります。ここでは男性不妊の原因と改善法を紹介します。

男性不妊の原因は?主に2種類のトラブルがあります

男性不妊の原因は、性交ができないことと、精子トラブルの2つに分かれます。
それぞれ対処法は異なりますが、適切な治療を受けたら多くのケースでは改善することが期待できます。

性交ができない(性機能障害)

ED、射精障害などさまざまな原因があります。
プレッシャーなど心因性、体調不良から手術の後遺症、薬の副作用、加齢、糖尿病など生活習慣病まで、原因は多岐にわたります。
EDの治療は一筋縄ではいきませんが、薬物治療と心理的サポートを行います。(こだわりがない場合は、人工授精を行うこともあります)
自慰なら問題ないが性交に支障がある、膣内射精障害もあります。改善するための専用のトレーニングプログラムがある病院があるので、病院で相談するのが大切です。

性機能障害の一つに「逆行性射精」があります。
精液が膀胱に流れ込んでしまう症状で、前立腺の手術や糖尿病などで起こりやすいと言われています。射精した感覚はあるのに精液の量が少ない、全く出ないのが特徴です。
ある種の薬に改善効果があるため、投薬治療を行うのが一般的です。



精子のトラブル

精子に何らかのトラブルがあると妊娠に至りません。
精子の数が少ない、数がいても動きが鈍い「造精機能障害」と、全く精子がいない「無精子症」があります。
無精子症は、精子が通る管にトラブルがある閉鎖系と、染色体異常や精巣炎などが原因の非閉鎖性に分けられ、対処法が異なります。
致命的な原因であっても、手術や投薬で解決することもあります。特に、造精機能障害や閉鎖系は手術で解決することが多いので、落ち込むことはありません。

不妊治療を行う専門病院では男性外来があるので、もし無精子症と診断されたら専門病院での治療をおすすめします。
自費治療の手術が保険適用されることがある、手術のレベルが非常に高いなど、さまざまな良い効果が期待できるためです。

男性不妊の多くは治療が可能、ただし生活習慣の改善は必須

男性不妊の原因のひとつに糖尿病や高脂血症など、生活習慣病があります。
特に糖尿病は血管を傷めるため、勃起不全や射精障害などを引き起こします。生活習慣病でなくてもBMI25以上の肥満も、さまざまな男性不妊リスクを上げる原因です。
過度な飲酒は神経を鈍らせ、勃起不全を引き起こすことがあります。お酒はほどほどに楽しみましょう。

特に、今日から辞めたい生活習慣は喫煙です。
喫煙は受動喫煙でも妊孕性を下げ、産まれた赤ちゃんの突然死を引き起こす原因になります。ぜひ今日から夫婦で禁煙しましょう。
独力で喫煙が難しい場合は、禁煙外来を受診してサポートを受けるとスムーズに禁煙できます。

幸い、男性不妊の治療法はある程度確立されています。精子さえ手に入れば、顕微授精という形で妊娠の可能性を上げることはできます。
しかし、原因が生活習慣病や肥満の場合は、男性の自己管理が欠かせません。糖尿病なら治療薬を服用し、インシュリン注射などで血糖値をコントロールする必要があります。
そして、適度な運動とバランスの取れた食生活で、適正体重までダイエットする必要があります。

投薬はあくまで補助的な役目に過ぎません。仕事優先で身体を労わらない男性もいますが、無理のない範囲で体を動かし、腹八分目を守りましょう。
自己管理ができ、ダイエットに成功すると、ますます自信が付いてきます。

健康な男性でも、精子のコンディションは不安定

精子のコンディションは、その時の体調や栄養状態によって異なります。
健康な男性でも体調が悪いと精子の数が減る、運動率が落ちることは珍しくありません。その際は適度な休息、適切な栄養素の摂取、リラックスすることを心がけましょう。
あまり妊活で頭がいっぱいになると、常にストレスがかかる状態になります。無用なストレスを与えないように、日々の言動や行動に気を付けて暮らしましょう。

ぜひ夫婦で不妊検査を…その前に知っておきたい男性心理

不妊の原因は男女ともリスクがあります。そして原因を探るのは男性の方が検査数は少なく、比較的簡単に診断が下ります。

しかし、男性は女性以上に妊孕性(妊娠させる力)トラブルを恐れる傾向があります。プライドや男性の沽券にかかわる問題で、生理的な忌避が強いのです。
妊活に非協力的なことを頭ごなしに非難する女性がいますが、まずは男性心理を知ることが大切です。

生理的嫌悪に打ち勝つには、正しい知識と使命感、理性しかありません。そしてそれを支えるのは夫婦の絆です。
決して強制するのではなく、病院のHPを教えて自分で読んでもらう、病院のセミナーに参加するなどして、論理的に筋道を立ててアピールをしましょう。
男性は、頭で理解できることに納得する力が、女性よりはるかに強いのです。



参考サイト

英ウイメンズクリニック 男性不妊治療外来

MSDマニュアル 逆行性射精

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