健康を保ち、妊活に耐えられる体をつくるには、バランスの良い栄養摂取が欠かせません。
栄養は、バランスの取れた食事で摂取するのが理想的です。サプリメントは補助的なものなので、頼りすぎるのは良くありません。
妊活をするなら、簡単でバランスの良い料理を食べるのが一番です。
しかし、厚生労働省が唯一、妊活中にサプリメントで摂取が望ましいと公表する栄養素があります。ビタミンBの一種「葉酸」です。
ここでは葉酸のはたらき、なぜサプリメントで摂取する必要があるかをご紹介します。
葉酸は赤ちゃんの成長を支える大事な栄養素
たった1つの受精卵が着床すると、爆発的に細胞増殖を繰り返して成長します。特に、身体の構造を造り上げる妊娠初期は、重要な器官を造るための大事な時期です。
葉酸はDNA合成に欠かせない栄養素。特に、妊娠直後から3ヵ月の妊娠初期には大量に消費されます。
もし葉酸が不足すると、赤ちゃんの器官がうまく造れず、深刻な障害を負う可能性があります。(神経管閉鎖障害)
葉酸サプリの接種は、この障害を減らす可能性があります。妊娠3ヵ月までは葉酸サプリの摂取が望ましいでしょう
しかし、いつ妊娠するかは誰にも分かりません。妊活をしても、妊娠する可能性を上げることはできますが100%妊娠するとは限りません。
そのため「妊活中から葉酸は、サプリメントでの摂取が望ましい」とされています。
それなら普段から葉酸が多い食事を食べれば、葉酸不足は解消するのでは?という疑問が出るかもしれません。
半分は正解ですが、食事から安定して葉酸を摂取するのは大変難しいのが現状です。それは葉酸が壊れやすい、吸収が不安定な栄養素だからです。
葉酸は壊れやすい栄養素
葉酸はほうれん草の葉から発見されたビタミンです。ほうれん草、ブロッコリーなど緑黄色野菜に豊富に含まれています。
茹でトウモロコシ、茹でたグリーンアスパラ、茹で枝豆、納豆、焼き海苔なども、葉酸が多い食品です。
特に葉酸を豊富に含む植物はイチゴです。イチゴ4~5粒(約80g)を食べれば78μgの葉酸を摂取できます。いちごは加熱せずに食べられるので、他の食材より効率よく葉酸を摂取できます。
高級品ですが、玉露1杯(150mg)には225μgの葉酸が含まれています。なかなか手が出せない高級品ですが、旨味たっぷりの玉露はリフレッシュにも最適。頂ける機会があれば、ぜひ飲んでみたい一品です。
動物性食品にも葉酸はあり、特にレバーには豊富な葉酸が含まれています。生の鶏レバーには40g中、葉酸が520μgも含まれています。
しかし、「生のレバー」という点が問題になります。葉酸は水溶性で、熱に弱い性質があります。
葉酸は「加熱で壊れやすい」「水で茹でると溶け出る」などの性質があり、数値通りになるとは限りません。
さらに、食べ合わせで吸収率が変わる可能性があり、食べ物から安定して葉酸を摂取するのは難しいのです。
サプリメントに含まれる葉酸は人工的に合成したものが多いですが、実は合成された葉酸のほうがダイレクトに体に吸収されやすい特徴があります。
人工物は体に悪いと感じる方もいますが、葉酸に限れば人工的に合成されたもののほうが効率よく活用できます。
葉酸サプリの1日摂取目安量は400μg。多くの葉酸サプリメントは1日摂取量で400μgになるように調整しています。必ず摂取量を守り、食品からも葉酸摂取するように心がけましょう。
葉酸も過剰摂取のリスクがあります。
食品から葉酸を過剰摂取しても、すぐに体外に排出されるので問題はありません。しかし吸収効率の良いサプリメントは過剰摂取のリスクがあります。
1日1,000mg以上の葉酸を摂取すると、亜鉛の吸収を邪魔するなど、副作用が起こりやすくなります。亜鉛不足になると味覚障害など、さまざまな悪影響が現れます。葉酸に限りませんが、サプリメントの摂取は必ず容量を守りましょう。
なお、生レバーを食べるとo-157やギラン・バレー症候群など、深刻な病気を起こすリスクがあります。葉酸はサプリメントで補給すれば不足することはありません。生レバーの生食は絶対に止めましょう。
赤血球形成をサポートして、貧血予防にも
葉酸は細胞分裂のサポートを行う栄養素ですが、赤血球の形成にも欠かせません。
貧血は主に鉄分不足が原因ですが、葉酸、ビタミンCなど他の栄養素もバランスよく摂取すると、さらに効果が高まります。
健康な血液は妊活をする上でも大いに役立つでしょう。赤血球は体の隅々まで酸素と栄養を運ぶ、大事なはたらきがあります。
十分な量の赤血球があれば、子宮内膜や卵巣へ栄養がしっかり届き、育成しやすい環境が整います。
ただし、ホルモン不足など、他のトラブルがある場合は改善しません。なかなか妊活が成功しない時は、一度は婦人科で検査することをおすすめします。
ちょっとしたトラブルが原因なら、かんたんな治療で妊娠成功する可能性があります。
参考サイト
厚生労働省e-ヘルスネット 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果
森永製菓 葉酸の働きと摂取量の目安、多く含む食品を紹介
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