「食べ物」は大事だけど「食べ方」も大事!妊活に良い食べ方は?

妊活コラム

「妊活に良い食べ物」についてはよく紹介されますが、妊活に良い「食べ方」は意識したことがありますか。
過食や甘いもの、寝る前の食事など血糖値が上がりやすい食べ方は排卵障害を起こす可能性があります。
正確に言えば、妊活に良いというよりも「妊活の妨げにならない食べ方」になります。もしこれからご紹介をする食べ癖があるなら、ぜひ改善しましょう。

血糖値をできるだけ安定させましょう

健康な方は血糖値と言われてもピンと来ないかもしれませんが、たとえ健康でも不摂生を続けるとやがて血糖値コントロールが不安定になります。

糖尿病(2型糖尿病)は全国に約950万人いると考えられ、決して珍しい病気ではありません。
自覚症状に乏しく、重度の高血糖にならなければ症状が表れにくいのが特徴です。しかし、その前に排卵障害が起こることがあります。

卵巣の中に卵子予備軍が多く成長して、どの卵子も育たない、育ちにくくなる症状を多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と呼びます。
生殖可能な女性の5~8%はPCOSを発症すると言われています。決して珍しい症状ではありませんが、原因の全容はいまだ判明していません。
男性ホルモンのアンドロゲンが過剰分泌され、女性ホルモンの卵巣刺激ホルモンと、黄体ホルモンのバランスが崩れることで発生することが分かっています。(ゴナドトロピン異常)

近年は血糖値を下げるホルモン、インスリンが効きにくい体質の方にもPCOSを発症しやすいことが判明しました。
糖尿病と一言で言っても原因はさまざまで「インスリン分泌が少ない」だけでなく「インスリンが効きにくい」こともあります。インスリンが過剰に分泌されるとアンドロゲンの過剰分泌を誘発し、PCOSの発症リスクを上げます。

糖尿病は遺伝性、生まれつきインスリンの分泌が不足する1型糖尿病もありますが、多くの場合は不摂生な食生活です。
揚げ物の頻度を下げる、魚中心の生活にするなど、食べ方はいろいろありますが、いちばん大切なのは「適正なカロリー量をバランスよく、定期的な時間に食べる」ことです。



食事は決まった時間に、同じ量を

血糖値を安定させる食べ方はたくさんあります。
「毎日決まった時間に食べる」
「朝、昼、晩同じ量を心がける」
「食物繊維が多い食品を摂取する」
「野菜類を先に食べる(ベジ・ファースト)」
「間食、おやつを控える」
「カロリー過多を防ぐ」

血糖値は食後に急激に上がり、インスリンが分泌されると徐々に下がっていきます。
この血糖値の上下をできるだけ緩やかにすることで、糖尿病リスクを減らし、PCOSを防ぎます。

「決まった時間に食べる」ことで、血糖値が下がりすぎないタイミングで摂取することができます。
さらに食べる量も「できるだけ3食とも同じ量にする」ことも有効です。
朝は少しだけ、晩にたっぷり食べる方がいますが、これは血糖値管理という点では良くありません。朝、昼、夜とも、できるだけ同じ量を摂取しましょう。

主食を白米から玄米へ、パンを黒パン(ライ麦パン)に替えるのも効果的です。玄米や黒パンは食物繊維が豊富で、血糖値の上昇を穏やかにします。これらは食べるときにしっかり噛む必要がありますが、ゆっくり食べるのも血糖値を安定させる食べ方です。
黒パンはあまり売っていませんが、自然食品の店や高級スーパーなどで購入できます。さわやかな酸味があり、1枚食べただけで満腹になる優れた主食です。
そのままでは食べにくいので、チーズやレバーペーストなどを塗ると良いでしょう。たんぱく質を加えることで栄養価が上がります。

野菜をたっぷり食べるのも食物繊維の摂取に良いメニューです。まず野菜を食べ、肉や魚を食べ、最後にご飯やパンを食べる「ベジ・ファースト」という食べ方も、血糖値の上昇をおだやかにします。

もしあなたが医学的見地からの肥満(BMI25以上)なら適正体重までダイエットすることで、PCOSが大幅に改善することがあります。
食事は大まかにカロリー計算をする、間食を控えるだけでも効果があります。

薬の効果は限定的、ぜひ食習慣の改善を!

PCOSでも排卵するための治療はいくつかあります。排卵誘発剤のクロミフェン製剤は昔から使われる伝統的な治療法です。
自力で多くの卵胞ホルモンを分泌させ、卵子予備軍が多くても人海戦術で育てることができます。
メトホルミンという、インスリンが効きやすくなる経口薬を服用するとPCOSの症状が改善することがあります。インスリンが効きやすくなり、少ないインスリンで血糖値が下がるようになると、インスリン量が適量に戻ります。

しかしこれらは補助的な治療に過ぎません。
適正体重までダイエットをするだけで血糖値が安定し、PCOSが改善することは珍しくありません。糖尿病が原因の場合は適正体重まで下げることが妊活にも、さらに妊娠期間にも大事です。妊娠中は健康な人でも糖尿病を発症しやすいので、糖尿病リスクのある方はぜひ妊活中から食生活を見直しましょう。

たまの贅沢で豪華な食事を摂ることも悪くないですが、普段の食生活はできるだけ規則正しい時間に食べましょう。食物繊維の多い食品を取り入れることも大切です。



参考サイト

東京都福祉局 妊活中の食習慣について

日本内分泌学会 2型糖尿病とは

こそだてハック「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?妊娠できる?治療法はあるの?」

日本糖尿病学会 健康食スタートブック

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